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本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

[荻原浩] 神様からひと言


神様からひと言 (光文社文庫)

神様からひと言 (光文社文庫)


丸善で山積みされ本の帯に”書店員さんが絶賛”とあったので、即購入。タイトルに”神様”とあるので、やさしいヒューマンドラマな内容かと思った。が、しかし実際に読んでみて、いい意味で期待を裏切られた!笑いあり、感動あり、勇気ありの、「釣りバカ日誌」をほうふつとさせるキャラクターがいい味を出すサラリーマン応援小説って感じかな。

大手広告代理店をやめて、「珠川食品」に再就職した主人公、佐倉涼平。そこで販売会議で上司と喧嘩し、リストラ要員収容所「お客様相談室」へ異動させられる。勤務態度は最悪だがクレーム処理はプロ級の篠原、パソコンおたくの羽沢、体はでかいがあるトラウマでふさぎこんでいる神保、美人だがちょっと訳ありの女、宍戸。「お客様相談室」にかかってくるクレーム対応は面白すぎ!

また、会社での出来事と平行して展開される、涼平と彼女リンコとの恋愛物語。最後の再会シーンは(涙)これだけでも立派な恋愛小説にできると思う・・・
会社役員が取引先との癒着などをしていることを知ってしまっての屋台でのシーンが印象に残った。

「会社って何なんでしょう」

「おでん鍋といっしょだよ」

「えっ?」

「せまいところで煮詰まってさ、部長だ課長だ役員だなんて言ったって、所詮鍋の中で昆布とちくわが、どっちが偉いかなんか言い合ってるようなもんだ。考えてみ、このおでん屋じゃ牛スジが一番高くて偉そうだけど、他の食い物屋へ行けば使っちゃもらえない。こんにゃくはここじゃ安物だけど、味噌田楽の店にいけば堂々のエリートだよ。」

「なるほど」

「会社の序列なんて、たいした順番じゃないんだよ。一歩外に出たら、ころりと変わっちまうかもしれない。でも、子供の時から一生懸命競争して、ようやく手に入れた順番だからね、そこからこぼれ落ちたくないんだな。」

間違いなく最近読んだ中でNo1。たぶん映画化されるんと違うかな・・・萩原作品をもっと読んでみよっと。