Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

札幌に電車でGo!

4年ほど前の仕事で、大阪から札幌まで17時間かけて行ったお話です。

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その日は日曜日、伊丹空港はジメーっとした天気でした。

翌日の月曜から金曜まで一週間、北海道の顧客を商工会議所の会議室に集めて、自社のシステム運用講習会(参加費無料)をセッティングしていました。

北海道地区はライバル会社のシステムに圧倒されており、わが社は北海道では後発なので、何としてもその状況を逆転すべく、1年間のセールス活動を経て、今回の講習会に至ったのです。

前日入りして初日の講習会に備えるべく、講師役の僕は伊丹空港を飛び立ちました。

日曜日、夕方のことです。

離陸後順調に飛行していましたが、ほどなく青森上空で機長からのアナウンスが流れました。

「機長の○○です。新千歳空港は、滑走路が凍結して着陸できません。このまま伊丹空港に引き返します。」

ん、なっ、なんやとー!

1年越しのミッション、出発前からトラブル発生ではないかっ!(汗)

まあ、天候には勝てないと割り切り、伊丹空港に引き返したのでありました。


伊丹着陸後、明日の便に変更するため、指定のカウンターに猛ダッシュ!なんとか、翌朝月曜8時の飛行機を押さえることができました。それでも、伊丹空港〜新千歳空港〜札幌駅まで3時間程度かかるので、朝10時の講習開始時間には間に合いそうにありません。


取り急ぎ、札幌支店の所長に電話して、事情を説明しまいした。

「わかった、月曜午前の講習は俺のほうで何とかするから、頑張ってきてくれ。」


翌月曜日、家を出て、定刻の1時間前に伊丹空港に到着しました。

ん、また何だか怪しい雰囲気です。。。皆そわそわしています。

電光掲示板みると、新千歳行きが(前日からの大雪の為)全便欠航!


・・・(絶句)


あわてて札幌所長に電話したら、

「もう、何ともならんな・・・」とのこと。

そらそうだ。。。

講師役の僕が行かないと講習会は始まらない。。。

かくして前代未聞の講習会初日から自習という、如何ともし難い事態となってしまいました。

トホホ・・・

(講習受けずに、どうやって自習するねん。。。)


でも、そこは心優しい道産子の皆様。

悪天候の事情を理解してもらいました。

今度は講師の僕をどうやって札幌入りさせるか思案して頂きました。

「大阪12時発のトワイライトエクスプレス(以降TE)に乗ったら、明日早朝に札幌に入れるんでねえか?」

TEとは、JR西日本が大阪駅〜札幌駅間で運行する臨時寝台特急列車のこと。

それしかない、ってことで、僕は伊丹空港からタクシーを飛ばして、大阪駅に向かいました。

もちろん阪神高速に乗ってもらって、「運ちゃん、飛ばして、とにかく飛ばして!!」



キキーっ、大阪駅到着。

急いでても、お釣りはきちんと受け取り、チケット売り場にダッシュ。


トワイライトエクスプレス(TE)、一枚下さい!」


係員は一瞬、とまどい、ひと言。


「お客様、TEは大変人気でして発売初日にすべて売り切れでございます。」


「・・・(汗)」


どうやらTEは定年後時間に余裕のあるご夫婦などが利用し、大人気だそうです。


「(お客さん、出張でトワイライトエクスプレスはないでしょう。。。)」

「(飛行機飛ばへんねんからしゃあないやろっ!)」


チケットカウンター越しに、微妙な空気が流れること数秒。


「じゃあ、他の方法でいいので札幌に一番早く行ける電車調べて下さい!」


(そういう聞かれ方初めてです。)という顔をされつつ、とりあえず調べてもらいました。

「最短時間で札幌に着ける経路」なんて検索の方法が無いらしく、(係員個人の知識と思われる)日本海1号で青森までいく方法を提示してもらいました。

それでは、明日火曜日の午後札幌着になってしまいます。朝9時には間に合いたいのです。


そこに、大阪支店の上司から携帯メールが。。。

短い文で「新幹線を乗り継げ」・・・

そっか、その手があったか!

「よーし、じゃあ新幹線で行けるとこまで行きます。」

係員から示された新幹線乗り継ぎ方法でいけば、明日朝9時に札幌着ける!

 新大阪〜東京:東海道新幹線「のぞみ」(月曜午後1時新大阪発)

 東京〜八戸:東北新幹線「はやて」

 八戸〜函館:特急「スーパー白鳥

 函館〜札幌:夜行急行列車「はまなす」(火曜日朝6時札幌着)

鉄道マニアにはたまらん継投策でしょうが、

こっちは飛行機1本飛ばないお陰で、散々な旅です。




月曜日昼1時に「のぞみ」で新大阪を経ち、東京駅で東北新幹線「はやて」乗り継ぎ、八戸着。

3分くらいしかない乗り換え時間、ダッシュで、「スーパー白鳥」に飛び乗りました。

若いスキー客が多い中、スーツ姿のサラリーマンの僕。

「電車乗ったまま連続時間」の自己記録を大幅に更新していることを、旅行気分でルンルンの兄ちゃん達には知る由もありません。。

エコノミークラス症候群にならないよう、足を動かしたりしながら。。。


やっとのこと函館到着。時刻は午後10時。大阪出てから、9時間経ってました。


しかし、また問題発生。

大雪の影響で、25時30分発の函館〜札幌間夜行列車「はまなす」が運行できるか分からないとのこと。

函館駅は、怒り気味の客が駅員に詰め寄ったり、大混雑

あきらめ半分で地べたに座り込み状態の人もいるわ。。。

僕自身も旅疲れ、いや、(仕事なので「移動疲れ」と呼ぶべきだろう。)

移動疲れで、駅で待つべきか、それともあきらめて、明日朝7時発の「スーパー北斗1号」を選ぶべきかどうか。。。迷い。。。

スーパー北斗1号」だと、朝7時函館発、札幌には10時過ぎ着です。

これでは講習二日目の午前も自習になってしまう。。

(そう、自習のし様がないのだ。)


僕は空腹と疲れに負け、函館駅前のビジネスホテルにチェクインしました。

部屋でちょっと休憩したあとホテルを出て、

函館ラーメン」の匂いにつられ、腹ごしらえしました。

ホテルに戻ってシャワーを浴び、明日に備え早く寝ようと布団に入ったのですが、・・・なかなか寝付けません。。。

(5日間の講習会で1日半が自習ってどういうこっちゃ。

 残り3日半で取り返せるのか・・・?)

(わが社未開の地、北海道ユーザーを囲い込むため1年間、営業かけて今回の講習会開催に漕ぎ着けたのではないのか。。)

メラメラと気合いが入ってきて、よーし、ここは一丁、「はまなす」発車するかわからんけど、駅に行ってみよう!

チェックインして2時間後、僕はフロントで「チェックアウト」をしました。

一応保険をかけて、

「『はまなす』が走らんかったら、戻ってくるので、1時間くらいは部屋片付けないでね。

 発車したらその旨ホテルに電話しますので。。」

ホテルのボーイさんも事情を理解してくれて、「分かりました。そのようにいたします。行ってらっしゃいませ。」

そんでもって、いざ悶々とした函館駅に向かったのであります。。


駅員の声が聞こえてきました。

「え〜、25時30分発のはまなすは、発車可能となりました。」

「繰り返します、え〜・・・」


やったあ!!!

これで、朝6時に札幌入りできる!

9時からの講習会にも間に合う!!!(^^)


駅で待っていた客たちは、すでに「はまなす」に乗り込んでいでたので、僕は急いでホームに走りました。


しかーし、であります。

北海道全域の空港が閉鎖している今、地上のリーサルウェポン「はまなす」は超満員。

自由席も満席、通路もびっしり。隙間なし。

乗客みな疲れ果て、殺気も立っています。


  ついてねぇ・・・(><)


でもここまできて、「はまなす」を見送りホテルに戻る訳にはいきません。

意を決して、車両と車両の継ぎ目に乗り込みました。

しかしそこも超満員。腰をおろすのもやっとの状態でなのです。


不運は続く。


列車の継ぎ目には暖房が入っていません。

極寒です。

めっちゃ揺れる継ぎ目で4時間以上たちっ放し、それも暖房なしで、です。

泣きそうになるとは、この事です。。。

講習会半日分のために、俺は何やってんだろうと。

ちょっと後悔。。。(涙)

(高校の野球部時代、部室裏でのシゴキのほうがよっぽどましです)


そうそう、ホテルに電話せな・・・

「先ほど、2時間ほどお世話になったものですが。

 無事ではないですけど、列車走りましたので、部屋片付けて下さい。」


・・・
・・・がったん、ゴットン・・・
・・・


苦痛に耐えること、4時間。

列車のスピードが落ち、札幌が近づいてきました。


もはや感動です。


大阪から17時間かけての札幌入り。

(ハワイを往復できる時間です)

今は朝の6時。

講習会開始まで3時間あります。それまで、どうする??



とりあえず予約しているホテルにチェックインしよう。と思い、(予約といっても、飛行機欠航で宿泊を2日間キャンセルしていたので、部屋に入れるのは、午後3時のはずなので、入れてくれるかな・・・)

6時半ころ、タクシーでホテル前に着きました。フロントのボーイさんに、とりあえず、事情説明。

ここは感情に訴えて、交渉だ!・・・・・・・・

でも交渉を長引かせたのは、僕の身格好にあったと、後日気付きました。

その時の僕の格好は、靴下を3枚重ね履き、スーツパンツの上にはいたジャージの裾を、その靴下の中に入れた百姓スタイルでした。

生きるか死ぬかです。格好など気にしている状況ではありません。

交渉のすえ、空いている部屋に入れてもらえる事になりました。

感謝感謝・・・

その時、浸かったお風呂の暖かさは忘れられませんね。。


(終わり)

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5日間の講習会、初日自習による遅れは、残りの4日間に延長分散し、講習参加者の協力もあって、無事終えることができました。

その後、僕は東京転勤となったので、後任者に僕の担当分を引継ぎました。

あれから4年、その後任者の頑張りの甲斐あって、その時の講習会参加5社中、3社にシステム導入。

新しい別の1社にも導入できました。