Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

[荻原浩] 母恋旅烏


富山出張の帰り、大阪までの3時間半で残り半分を読み終えました。


母恋旅烏 (双葉文庫)

母恋旅烏 (双葉文庫)

レンタル家族派遣業というけったいなビジネスを営む花菱家は、元は大衆演劇の役者一家。父・清太郎に振り回される日々に、ケンカは絶えず借金もかさみ家計は火の車。やがて住む家すらも失い、かつてのよしみで旅回りの一座に復帰することになったのだが…。はてさて一家6人の運命やいかに!?刊行時、たっぷりの笑いと涙を誘い、最大級の評価と賛辞を集めた傑作!待望の新装文庫化。


大衆演劇の役者一家を描いた物語です。役者を廃業してから一家でいろんな仕事を立ち上げてはすぐに倒産させるの繰り返しで、そんなはちゃめちゃな父・清太郎に喧嘩が絶えない花菱家。その後レンタル家族業を営んでいるが、これがまたクライアントから苦情の嵐でお先真っ暗。そんな時ふとしたことからまた大衆演劇に復帰することになり、大黒柱として父親として輝きを取り戻すのに一生懸命な清太郎。最初数人の観客しかいなかった巡業であったが、天賦の才能を生かして伝説の演題「母恋旅烏(ははこいたびがらす)」をきっかけに劇場を満員にしていき・・・

家族の再生ストーリーなんですけど、「人には与えられた宿命がある」というメッセージも込められているように思いました。この物語でいうと清太郎にとっての演劇がそうです。隣の芝生は青く見えたり、若気のいたりで宿命から逃げ出したり。でも「想い」があれば紆余曲折あれど最終的に宿命にたどりつける。そんなことを感じましたね。

爆笑のキャラ設定といい、泣き笑いといい、萩原ワールド満載でーす。

PS:清太郎の芝居の師匠・団ノ助の家が尼崎にあるという設定がありました。小説で尼崎が出てきたのは初めてでちょっとビックリしました〜(笑)