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[垣根涼介] 君たちに明日はない


君たちに明日はない (新潮文庫)

君たちに明日はない (新潮文庫)

リストラを専門に請け負う会社に勤めている真介の仕事は、クビ切りの面接官。昨日はメーカー、今日は銀行、女の子に泣かれ、中年男には殴られる。はっきり言ってエグイ仕事だ。それでもやりがいはあるし、心も身体も相性バッチリの恋人もいる。そして明日は……? 笑って唸って泣かされる、恋と仕事の傑作エンタテインメント!


リストラ請負会社っていう設定も面白いけど、主人公がリストラ対象者との面接シーンがリアルで面白い。最初は当然拒否する人たちを最終的に着地点へ追い込む話し方はうまいし説得力がある。会社社会の負の面を描いた作品だが、退職勧告を受けてあらためて自分を見つめなおし新たな一歩を踏み出す人たち、けっこうな感動的ストーリーになっていると思う。

仕事柄いろんな人間の観察眼ができている主人公が面接時に心の中で思う言葉が印象的だった。

人間というのは、もし自分が不本意な状況にはまり、そしてその現状が長くつづきすぎると、ついには性根まで腐ってしまうものなのだろうか

個人として仕事が出来ることと、それを組織としてうまく転がしていくことは、ぜんぜん別能力の話なのだ

作業と仕事はちがう。この男は、仕事と作業の区別さえついていない

減点方式の評価しか下せない職場では、個人の能力が突出してくることはない