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[山田真哉] 「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い〈下〉

数字に騙されない。常識に惑わされない。この本の目的は2つあります。ひとつ目は、数字が苦手な方が、「数字の裏側」を読めるようになること。数字は人を騙す凶器です。数字のウソを学ぶことで、数字に騙されない“考える力”を鍛えます。2つ目の目的は、「会計がわかればビジネスもわかる」といった会計に対する誤解を解くこと。ビジネスに「会計が必須の教養」であることが常識となりつつありますが、会計とビジネスでは世界が180度異なります。会計の限界を知らずに使っている人が、ビジネスに混乱を巻き起こしています。そこでこの本では、ふだん語られない“会計の本質”に光を当てます。なお、上巻を読まずに、下巻から読みはじめても大丈夫です。

上巻より断然面白いです。予算計画が経営の自由度を奪い弊害も多い。会計的思考とビジネスは実は相反するもので、それを両立するのが優秀な経営者である。このように、会計士である著者が「会計」の限界を唱え、変化の大きい時代は企業や個人が持つべき“カード”を増やすことが大事と主張しています。営業マン必須の良本だと思います。

企業にしろ、個人にしろ、計画は弊害のほうが大きく、あまり意味のないこと。計画は、「作られた数字」や「根拠のない数字」を生み出す土壌になっている。

社会の激しい変化を考えると、これからは、「計画」よりも「カード(切り札)」の時代になっていく。

脱予算経営とは、思い切って予算計画を廃止した経営のこと。海外では一部の銀行や化学メーカーが採用していて、予算計画を廃止した代わりに、KPI(=重要業績達成指標)などの新たな規準を作っている。
KPI(Key Performance Indications)とは、目標の進捗状況を調べるために、達成度合いを定量的に示したもの。「在庫水準」「品切れ率」「製品化までの時間」「解約件数」「顧客訪問回数」「従業員離職率」といった中間的な目標がKPIになります。

計画信仰は言葉を換えれば“計画幻想”です。計画は個人や企業から自由を奪い、ムリ・ムラ・ムダを生む。
できればムリ・ムラ・ムダとは無縁な自然体でいたい。そのためには、変化に対応できるカードをできるだけたくさん持っておく必要があると思う。

費用対効果は、「お金を規準として効果を考えましょう」という意味なので、お金が出てくる場面では、「費用対効果」といっておけばまずハズレなはい。

ひとつの物事をAとBに分けて考える「二分法」は「複雑な対象を分かりやすくシンプルにするためのテクニック」である。ある料理人は、新しい味を考えるとき、既存のものに「足し算」をするか、既存のものに「引き算」をするかをまず決めるそう。会社でいうと、売り上げを増やすか、費用を減らすか、どちらかしかないのだ。管理体制についても「予防」と「治療」の2つの観点から考える。

ビジネスも二分法で切ることができる。「会計的な行動」か「非会計的な行動」か、という二分法。
しかし、優秀な経営者は、二者択一ではなく、可能な限り「会計」と「非会計」の両方を一気に解決する方法を考えている。それを〜妙手〜と呼ぶ。

ビジネスと会計とでは、求められる能力がまったく異なる。会計はそもそも科学的な学問である。「現象の再現性」「反証可能性」が大事とされている自然科学と同じで、誰がやっても同じ結果にならなければならない。
一方、ビジネスは非科学的な分野である。同じビジネスモデルなら誰がやっても同じ結果だ、ということはまずありえない。