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[東国原英夫] 知事の世界


知事の世界 (幻冬舎新書)

知事の世界 (幻冬舎新書)

国家の礎は地方にある。だが、現実は、逼迫した財政に苦しむ瀕死の自治体ばかりだ。その最たる存在であった宮崎県が、東国原知事の誕生で息を吹き返した。メディアを使った巧みなPRで観光客、県産品の売上は増加。県職員の士気も上がり、率先して組織改革を進めるほどだ。人口一一四万人の県が、トップの交代でここまで変わる。知事のもつ影響力とは何か?宮崎県を地方変革と日本再生の新しいモデルにした知事の全貌がわかる。

すばらしい本です。お笑い芸人出身ならではの傑出したコミュニケーション能力や周囲を巻き込む雰囲気作り。著者より頭のいい都道府県知事はいくらでもいるでしょうが、人間社会は理想や正しいことを言われても頭では理解できても言ってる人の魅力やキャラで行動できるか変わってくると思います。いつも難しい顔をして砕けたところがない人よりも、どちらかというとバカキャラでどこか憎めなくてその人から頼まれれば助けたくなるような人がいいですよね。本当に賢くて強い人って表には出さないんですよ、きっと。

就任当初の印象が強いせいか、僕は対立型の人間に見えるらしいが、自分では調整型あるいは調和型だと思っている。押すところは押す、引くところは引く。譲れないところは断固として譲らないが、譲れるところはあっさり譲る。そんなバランス感覚を心がけて、できるだけ歩み寄るかたちでやってきた。

物事の本質を捉えれている人はいいバランス感覚を発揮できると思うんです。どうでもいいことに執着して本当に大事なところを逃してしまっては本末転倒です。小異を捨てて大同につくことが大きな成果となって返ってくればいいじゃないですか、ってね。本来お笑い芸人はオチ(大爆笑)にもっていくにはここで自分がどう振舞ったらいいか、どう捨て駒になれば一番の笑いが取れるかを肌で知っているんですね。個々の「持ち場」と言えるかも知れません。トップマネジメントとしての知事もその組織や周囲が最大限力を発揮するために、ここは出ていくところか、引くところかの判断力が身についているのでしょうね。