Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

釣り今昔

野球仲間のM吉家族、N家族、O、M沢、Yasuとで和歌山に釣り&バーベキュー大会に行ってきた。
これぞ阪神!という見事な逆転負けっぷりから2日、悪夢の余韻を引きずりつつも無事朝3時に起きて、OとM沢を乗せて集合場所である和歌山のN宅に向かった。
先に着いていたM吉が朝から異常なハイテンションだったので、今日も釣れない予感がした。この男の声で魚が逃げるのだ。

全員集合したところで今日の釣り場、加太港に向かった。さぁ、6時。お日様も昇ってきた。いよいよ釣り大会開始!


「釣りは人生と似ている」。誰かの言葉だ。たぶん。隣の釣り人がやけによく釣れていて、こっちがさっぱりだったら、場所のせいにする。ゆっくり時間をかけてそこに移動すると、何故かさっぱり釣れない。仕方なく元の場所に戻ると、誰かに場所を奪われていて、しかも大漁だったりする。魚に見透かされているようだ。風林火山、動かぬこと山の如し、で行こう。



出だしはスローペースだったが次第にイワシが釣れ出した。肉眼でも回遊しているのが分かるくらいだ。子供たちも楽しそうに釣っている。天気もいいし・・・。9時のお開きで釣果は、イワシ300匹、アジが10数匹ってとこ。このメンバーでは奇跡的な釣果だ。



午後から砂浜に移動してベーベキューをしながら、釣果に気をよくした大人たちは、昔話で盛り上がった。


10年ほど前、みんなで神戸の波止場に釣りに行ったときのこと。餌を付け替えようと振り返ったYasuは勢い余ってテトラポッドから足を踏み外し海に堕ちた。いわゆる「海に堕ちた事件」だ。堕ちた衝撃で針が左手首に刺さって出血もしていた。手を貸してもらおうと周りに助けを求めたが、ナ!ナント完全無視…。えっ!?釣りのほうが大事?えっ、有事だよ、今!怪我したんよオレ、ほら、血出てるし。涙目アピールも空振り。仕方ない感じで声かけてくれたS木も目線は釣り竿のまま、海にはまったYasuに目線を向けることもなく「車ん中にジーパンあるから着替えれば?」。生まれて初めて心で泣いた。親友だと思ってた人たちに囲まれてこの有様だ。誰も助けちゃくれねぇから「人生」は絶対踏み外せねーと、このとき強く思った。

同じ日、Oが30センチ以上はある大きなボラを釣ったとき。いわゆる「ボラ事件」だ。Oはクーラーボックスの近くにいたM吉に針からのリリースを求めたが、M吉は異様なデカさとまだまだ生命力あふれるボラにビビりまくってキャーキャー喚くに留まらず、まだ空だったクーラーボックスを抱え上げてボラを、素手ではなくクーラーボックスで直接確保しようと言う暴挙に出た。自分の意思に反して蓋を目一杯開いたクーラーボックスはボラ目掛けて噛み付いた。取扱説明書には載っていない取り扱われ方だ。壊れても絶対保証は効かねー。クーラーボックスの蓋に挟まれたボラはビックリしてまた暴れ出し決して細くない釣り糸をちぎって海へと逃げていった。釣り人と魚の間に紳士協定があるとするなら、M吉の行為は絶対協定違反だと思った。生きて海に戻ったボラは、家族や仲間に人間世界の、いやM吉の暴挙を語り継いでいることだろう。


そのM吉は今日、釣れたイワシを前に喜びながらも怖くて触れないでいる6歳の息子に「釣った魚くらい自分でつかんで針から外してクーラーに入れなさい」と、真面目な顔をして言い聞かせていた。10年前の面を下げて言っていた。
「開いた口が塞がらない」。この言葉の意味をM吉が息子に教えるときに使ってほしい出来事だった。


 


夜、M吉からメールがきた。イワシの刺身、フライ(普通、カレー風味、しそ巻き)、ムニエル、煮付け料理の写真、どれも旨そうだ。