V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 三枝匡
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 文庫
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「2年で黒字化できなければ、退任します」—。戦略的なアプローチと覚悟(高い志)を武器に不振事業再建に取り組む黒岩莞太は、社内の甘えを断ち切り、業績を回復させることができるか。実際に行われた組織変革を題材に、迫真のストーリーで企業再生のカギを説いたベストセラー。
経営コンサルタントであり現在ミスミという上場会社のCEOも務める著者だけあって、実際的で読み物としても面白い。「改革8つのステップ」は会社経営に留まらず、個々の業務プロセスや個人経営、またプロ野球など、ある一定以上の組織にはすべて当てはめることができると思う。
改革8つのステップ
- 現実直視(このまま行けばどうなるか?/問題のボトムを把握)
- 強烈な反省論(危機感はリーダが人為的に作り出すもの)
- 原因分析(改革にストーリー性を持たせられるかどうかの勝負は、シナリオ作りの段階ではなく、「原因ロジック」を整理する段階からすでに始まっている)
- 改革シナリオ作り(非常に重要なことだが、成功する戦略は常に話が単純にできている。長い時間をかけなければ説明しきれない戦略は劣っている可能性が高い)
- 決断(リスクをとる)
- 現場への落とし込み(緻密な落とし込み能力/リーダーシップ/政治的軋轢の処理能力)
- 実行(シナリオを繰り返し説く/早期の成功、可視化/継続力)
- 成果の認知(評価が大事)
どんなダメ社員や改革の抵抗勢力でも、最初は純粋な気持ちで組織に配属されてきたはず。スタート時点ではまっさらな人間も、徐々に大なり小なり壁というものにぶち当たる。そのときにどんな決断をしたか、どう乗り越えたか、が問われる。最初にぶつかった壁に対して、逃げた人、逃げずに乗り越えた人。最初の経験値でその先の行動の殆どが決まってくると思う。「最初が肝心」、確信をついた言葉だと思う。
簡単ではないが、逃げないこと。大事だ。