Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

散り様


これ以上壮絶な散り様があるだろうか・・・。9回表2アウト3塁、藤川球児タイロン・ウッズ。伝説の11球を思い出した。ここを球児が押えていたらおそらく阪神が勝ってただろう。4番ウッズがツースリーから真ん中に入ったストレートを打ち返した。高々と舞い上がった打球はレフト観客席に着弾した。阪神ファンみなが爆風で飛ばされたかのような静まり返り方だった。見てはいけないものを見たかのような、心ここにあらず。そんな時が止まったシーンだった。
勝ったら第2ステージ、負けたら終わり。押えたら勝ち、打たれたら負け。今シーズン147試合目、壮絶なシーンがそこにあった。
藤川球児が打たれたら仕方ない。「歩かせてもいいのに」「フォークボール投げてりゃ」。誰でもそう振り返ったシーンだろうが、4番を打ち取らなければ勝てないことを球児も矢野も知っている。これまでこの戦い方で勝ってきたのだ。今さら何を言わんがな。昔の弱いタイガースがこんな負け方出きただろうか。逃げて逃げて押し出しで負け。そんなチームだったのだ。この5年でこんな負け方ができるチームに育ったのだ。岡田阪神のまさに壮絶な最後、しかし清々しい最後でもあった。

 敗れた将の体が宙を舞った。阪神は中日に0−2で敗れ、クライマックスシリーズ第1ステージでの敗退が決まった。先発岩田稔投手(24)が8回無失点の好投。0−0で迎えた9回表、2死三塁から守護神・藤川球児投手(28)が、ウッズに決勝2ランを浴びた。今季限りで辞任する岡田彰布監督(50)は、ラストゲームで壮絶に散った。試合後は、ファンに導かれるように自然発生的に全員がグラウンドに出て岡田監督を胴上げ。選手と別れの握手を交わす岡田監督は、号泣した。5年間の集大成。鮮やかな散り方だった。(nikkan)

「お前で打たれてよかったよ。なあ球児よ、お前で終われてよかった・・・」

(産経ニュース)


普段は朴訥で愛想のない岡田監督だが、最後に人間岡田を見た気がした。「勝つ監督」、「育てる監督」。岡田は後者だと思う。また監督で戻ってくる人だと思う。5年間おつかれさま。


岡田彰布という男
・・・。現役を退いたシーズンの春の宮古島キャンプで感心したことがる。2軍の指導者が全員引き揚げた中、ただ一人ゲージの後ろで、ある選手の打撃練習を見守っていた。「誰の目から見ても、何年たっても一軍に上がれない選手だから、誰も見てやらない。すぐにクビになるでしょうが、彼が将来、社会人野球でもやるようになったときに、少しでも打てるようになればと思って」。・・・(スポニチ)