［藤川球児］ 未熟者

ベースボール・マガジン社新書 未熟者 (ベースボール・マガジン社新書)

「打倒・巨人!」にたどりつくまで――。直球を極めた虎の守護神、藤川球児が初の自著で、葛藤の日々を告白。
球界屈指のクローザー・藤川球児。代名詞である豪快な直球は、いかに作られ、どこに向かうのか。2008年のV逸で一度は折れた心がどう回復したのか。野球人として、人間として葛藤する著者が、現在進行形の悩みとそこからの解放を本音で綴る。「同じ思い――もちろん、打倒・巨人!――を持ったチームメートと一緒に戦うことが、いまの僕にとってはなによりの幸せ」(本文より)と書けるようになるまでに、悩み、考えた成長の記録。矢野輝弘捕手との対談も収録し、バッテリー間にだけ流れる特別な時間、直球勝負を挑む心理などについてたっぷり紹介する。虎ナインの藤川評も満載の贅沢な一冊。

先発転向を直訴し真弓新監督との対談や第2回WBCへの思い、メジャー移籍を封印しての打倒巨人への思い、球界ナンバー１ストッパーに登り詰めるまでの足跡、また登り詰めた今考える、これからの生き方などが、綴れれている。
WBC準決勝、決勝で出番がなくても不満を腹にしまって明るく振る舞った球児は、人間としてまた器を大きくしたのだ。今シーズンも8試合で1回しか出番がないけど、よろしく球児！

もともと金髪でも構わない、というタイプの監督だったけど、特に僕は、首輪もリードも外して自由に走らせてもらった気がする。放すのにもタイミングがあって、早すぎるとどっかへ行ってしまう可能性があるけれど、僕の場合はタイミングで放してもらったと思う。

その気持ちと向き合ったとき、自分は数字に重点を置いていなにのだと気づいた。数字とは切り離したところに自分の求めているものはあるのだと、本当の心を知った。
賛否両論あるだろうけど、プロでは「打たれて絵になる」ことも必要だと思う。アマチュアの場合は「抑えた」「打たれた」という事象だけでいいかも知れない。でも、プロは少し違う。そういう意味で、「生きざまとして一番になりたい」と思う。

人間は、欲求がないと成長しない。でも、自分本位な欲求だけでは、いつか虚しさを感じるようになるだろう。誰かのために、誰かと力を合わせて、悩みながら、苦しみながら、それでも前へ進んで行く。そうすることで、いつか大きな達成感を得られると思う。一人じゃなく、誰かと一緒に。

［松下雄一郎］ ストレートという名の魔球 - Yasublog