Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

新湊大橋主塔上部工事見学


日曜日に富山県射水市の富山新港であった、新湊大橋のP23主塔上部設置工事を見学してきました。



工事概要は橋長600m、中央支間360m、主塔高さ127mの斜張橋、新湊大橋。今回の主塔上部(路面より上側)は高さ79m、重量900トンで超大型起重機船(第50吉田号、3700t吊)で一括架設するものです。


(6:25)到着してすぐ。早朝4時から近くに停泊していた吉田号を係留解除してP23橋脚を目指しています。写真の右側が日本海、左側が港の方向です。



(6:35)波止場の先端にギャラリーがたくさん集まっています。このあとすぐにこの波止場は立ち入り禁止になりました。



(6:38)この日の天気予報は曇り。降水確率は30〜50%だったので架設延期も心配しましたがご覧のとおりいい天気になってよかったです。主塔が水面に映っています。



(6:45)見学会に合わせ市役所から無料シャトルバスが往復していたのでたくさんの市民の方が世紀の工事を見上げています。



(7:05)第50吉田号は国内で2番目の吊り上げ能力を誇る超大型起重機船です。このクラスの起重機船は国内で6隻あります。吊り上げ能力3700トンに対して吊っている主塔の重量は900トン。余力が勿体無い気もしますが、100mの高さまで持ち上げるアームが必要なのでこのクラスの起重機船が必要なのです。



(7:36)粗位置合わせが終わり、揺れないように主塔下部を引き付けていた(黄色い)ワイヤーを切断しているところです。先端が丸まったワイヤーはあとで重要な役割が待っています。さぁ、いよいよ巻き上げ開始です。



(8:07)30分ほどかけてほぼ目的の高さまで巻き上げました。ここから起重機船が前進していきます。起重機船は自力で動けないので小型船が後ろから押します。



(8:18)右側の主塔下部のてっぺんには鳶さんがスタンバイしています。全員で7〜10名くらいかな。



(8:35)起重機船の前進開始から約20分。推定時速50mの速度で目前までやってきました。PC桁から出ているのは鉄筋でしょうね。



(8:42)主塔上部をゆっくり降下していきます。前出のワイヤーは縦リブの金具に通されていて対角に(おそらく)ウィンチで引っ張りながら精度よく位置を合わせていきます。



(8:55)主塔の内側が見えます。縦リブで補剛された結合部は高力ボルト6500本で締め付けられます。見た印象ではひ弱い感じがするかも知れませんが斜張橋として完成すれば完成系として安定感が増すのだと思います。もちろんケーブルのない主塔だけの状態での安全性も計算されているはずです。



(8:55)工事見学者は推定ですが数百名くらいいたのではないでしょうか。この工事を見て建設業に興味を持ち土木の世界を目指す子が増えれば嬉しいですね。



(8:56)「大男ふたりに抱えられた色白のひと」に見えなくもない主塔ですが(笑)。



(8:56)主塔の角が凹んでいるのは隅切りと言うのですが、見た目の良さだけでなく風がスムーズに流れるようにする耐風対策でもあるのです。(工事パンフレットより)



(9:01)主塔の一辺は約3mあります。100mを超える起重機船がミリ単位の精度で作業するのですから驚きです。



(9:08)日本海側に戻って反対の接合部を見たいと思います。アームの天端に主塔の先端がきています。これ以下の起重機船では不可能な架設だったのでしょう。



(9:10)高速道路でよく見るこいのぼりのようなものが見えます。これは急変する風向きをチェックして安全に進めるための工夫でしょう。起重機船のアームの太さは主塔と同じくらいのサイズなので推定ですが直径3mくらいあるのかも。すごすぎる!



(9:13)右奥はP22主塔で2日前に同じ起重機船で一括架設が終わっています。そのときは生憎の雨模様だったみたいです。



(9:20)朝4時の作業開始から約5時間、無事主塔上部が下部の上に設置されました。まだ起重機船は荷重負荷したままです。ほぼ予定時間どおりの作業はさすが日本を代表する橋梁メーカーです。



(9:27)このあと6500本ものボルト締めを行って午後2時ごろに起重機船の荷重開放が行われる予定です。が、Yasuご一行はこれにて見学終了です。


3時間ほどの見学でしたがめっちゃ楽しかった。土木工事に限らずものづくりは個人プレーよりもチームプレーが重視されます。天才ひとりが世界を変えることができる分野もあると思いますが、土木はそうは行きません。今回のような架設工事だとなおさら関係者みなのチームワークが必要ですし、事前の準備に相当な打ち合せが行われたことは想像に容易いです。ひと際目立つ大型起重機船に目が行きがちですが、それを操る小さな力の結集が大きな工事を成し遂げるのだと思いましたね。


続きはまた今度に。