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[五條瑛] ROMES06


ROMES06 (徳間文庫)

ROMES06 (徳間文庫)

世界最先端の施設警備システムROMESを擁する西日本国際空港に届いた複数の脅迫状。そしてある日、ROMESの警報装置が作動した!だがROMESの全貌を知るのは、西空警備チームでも最高運用責任者の成嶋優弥ただひとり。愛犬ハルとシステムしか信じない若き天才・成嶋と、テロリストたちの知と情を賭けた攻防の行方は・・・?大藪賞作家が描く大型サスペンス。


空港をテロリストが狙う。金銭目当てあり、復讐目的であり。助かるには移植が必要な病気の子供。ありふれた設定ともいえるがROMES(ロメス)と呼ばれる世界最強の警備システムとテロリストの攻防が面白い。

「君はこれまでいろいろ学んできたろうし、これからもたくさんのことを学ぶと思う。だけど、答えがあるものなんてごくわずかでね。世の中には答えの出ない問題の方が多い。そういうことさ。人生を語るにも体力が必要だ。有名な哲学者って、体力がある奴が多かったみたいだよ」「マジ?」流斐が笑っている。「理で解決できない問題に時間をかけるなんてことは、体力がある人間でなければ無理だよ。俺ならまずしないね」

ROMESは夢は映さない。現実を映すためだけにあるシステムだ。

希望。最後の最後に、人の命を支えることができるのはそれだけだ。その希望がいとも簡単に奪われてしまったとき、奪われた側がどんな気持ちになるものなのか、西空に思い知らせてやりたかった。

見も知らぬ人間の死を密かに願うことの残酷さ。罪深さ。ドナーにも家族や友人がいて、彼らはみな回復を願っていることは容易く想像できた。だが、それらすべてを受け入れてなお、閑野とジャンはこの日を待っていた。首を長くして待っていたと言ってもいい。

「いつだってシステムは忠実だ。問題があるのは、人間のほうですよ」