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[佐々木譲] 笑う警官


笑う警官 (ハルキ文庫)

笑う警官 (ハルキ文庫)

札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令がでてしまう。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちとともに、極秘裡に捜査を始めたのだったが…。北海道道警を舞台に描く警察小説の金字塔、「うたう警官」の文庫化。


濡れ衣を着せられた津久井を守るために真犯人を探す佐伯たち。津久井を追う警察組織。裏金疑惑もからんでタイムリミットは翌朝10時。佐伯たちは百条委員会に津久井を証人として出廷させることができるか。阻止しようとする闇組織。終盤はスピード感がありスリリングな展開で面白かった。映画も是非。

「真犯人を挙げるためには、ずいぶん短いし、津久井さんを守り通すには、けっこう長い時間ですね」

「もし、正義のためには警官がひとりふたり死んでもかまわないってのが世間の常識なら、おれはそんな世間のためには警官をやっている気はないね」小島百合は、佐伯の言葉の強さにいささか驚いて言った。「正義よりも大事なことがあるってことですね」佐伯は首を振った。「ひとの生命より大事な正義なんてないってことだ」