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[北川歩実] 金のゆりかご


金のゆりかご (集英社文庫)

金のゆりかご (集英社文庫)

タクシー運転手の野上雄貴は、GCS幼児教育センターから入社要請を受け、不審を抱く。GCSが発明した「金のゆりかご」と呼ばれる機械で育てられ、一時は天才少年ともてはやされたが、能力の限界を露呈し見捨てられた自分。真意を探るうち、子供が次々と精神に錯乱をきたした事件が浮かび上がる。やがて、ある母親が失踪、殺人が…。先端科学に切り込む新感覚ミステリー。


「最後がすごいですよ」と会社の後輩くんが貸してくれた本。秀逸なミステリーだと思う。天才を育むという特殊な幼児教育。突然変異した子供。親子の憎愛。挫折。いろいろなキーワードが折り重なって、終盤のどんでん返しには参った。2転3転どころじゃない。目が回った(笑)。

「僕らは幼少期を特殊な、ほかの人間とは違う環境の中で育ったんだ。それがいいことかどうかは知らないよ。ともかく僕らは特別な環境を共有している。人と犬の見る世界が違うように、男と女の感覚が違うように、日本人とフランス人の自意識の持ち方が違うように、僕らは、ほかの人間とは違うんだよ。僕らだけにしか分かり合えない世界がある。勉強ができるとかできないとか、そんなことは実は大した問題じゃあないんだ」