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[遠藤功] 競争力の原点


競争力の原点

競争力の原点

リーマン・ショック後の日本が中核に据えるべきパラダイムとは何か。それは、世界に冠たる「体質」を誇る国、企業をめざす――ということである。日本には、たとえ規模やパワーという「体格」で劣っていても、「体質」という新たな切り口で十分に戦うことができるだけの潜在力が備わっている。

 日本企業が「体質」を誇る存在となるためには、何をすべきなのか。その答えの核心部分は、「日本がこれまで大切にしてきたことを取り戻す」こと、すなわち「原点回帰」にある。自分たちがこれまでやってきたことを否定するのではなく、それらをいま一度吟味し、そこに活路を見出す。答えを安易に「外」に求めるのではなく、自らの「内」に求めてみるのだ。

 「Dream Big」「Think Small」「Act Big」という3つのキーワードを掲げ、具体的な実践例を数多く紹介しながら、いまこそ日本企業が再構築すべき「競争力」の本質について論及する。


久しぶりにビジネス本を読んでみた。量より質、体格より体質。WBCを連覇した日本野球の「スモールベースボール」を引き合いにしてきめ細やかさが大切だと。「勝つ組織」はたくさんあろうけれど「勝ち続ける組織」は一握り。その違いは組織に埋め込まれた「仕掛け」があるはずだ。「はみ出す」人間を生む仕掛け。勝てなくなってから気づいても遅いのだ。勝ってるときこそ仕掛け作りに力を注がないと。勝ったあとに「みなさんの努力のおかげで」と労をねぎらうだけでなく、易きに流されないような仕組み作りこそトップマネジメントだと思う。

「スモールマネジメント」という概念は、日本企業独特の「立ち位置」から生まれてきた。そこには、「制約」、「緻密」、「連続」という三つのキーワードが存在する。

現場は価値創造の主体であり、リスペクトする対象ではあるが、一方で視野が狭く、慣性や惰性に流されやすい。

意思決定の「品質」を高めるために現場に赴くのは悪いことではないが、本来行うべき意思決定を放置し、いわば「意思決定の在庫」を積み残したまま現場回りをするのは、本末転倒である。

「はみ出る」とは自らの「持ち場」を超えて、組織の上下、左右、斜めを必要に応じて縦横無尽に動き、人を巻き込んで事を成就することである。具体的には「ポスト」ではなく、「プロジェクト」で仕事ができるミドルを育てることが、企業を新たな成長軌道に乗せるためには必須であるといってよい。「ポスト」とは、出来上がった仕組みを安定的に回すためのポジションであり、役割である。

「はみ出る」場をつくったうえで、いかにそれを仕組みとして組織内に埋め込んでいくか。そのような組織論的アプローチが、ミドルの育成、活性化には欠かせないのである。

しかし、じつは「御用聞き営業」の本質は別のところにある。それは、顧客の「玄関」からではなく、「台所」、つまり顧客の裏口から入ることを許されるだけの「信頼関係」が構築されている点が重要なのだ。じつは「御用聞き営業」はもっとも難易度の高い営業スタイルである。

営業の基本とは、得意先に対する営業マンの「オーナーシップ」であると私は信じている。「あの得意先については、誰よりも知っている」と自負する営業マンがどれだけいるかによって、組織の営業力は決まってくる。