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[立石泰則] 「がんばらない」経営


「がんばらない」経営 不況下でも増収増益を続けるケーズデンキの秘密

「がんばらない」経営 不況下でも増収増益を続けるケーズデンキの秘密


このデフレ不況の時代に、安売り激戦地の家庭量販業界で、なんと毎年増収増益を続ける会社がある。しかもその秘訣は「がんばらない=無理をしない」ことだという。定時退社に週休2日。数値目標で縛らない。従業員が安心して長く勤められる環境づくり、会社が従業員を守り、従業員が会社を支える…理想論としか思えないその経営手法で、実際に「創業以来62年連続の増収、2回をのぞいてすべて増益」という実績を生んでいるのだ。従来の経営の「常識」をひっくりかえす、しかし実はきわめて真っ当なその経営哲学のすべてを紹介する。


ケーズデンキといえば千葉に住んでた当時、浦安店でアクオスと洗濯機を買った記憶があります。関西ではあまりなじみがない名前でしたが、こんなユニークな会社とは知らなかったです。HPにこんな社是が。「感謝・健康・親切と愛情・専門店の誇り・生産性の向上」シンプルですね。グループ理念は、「人を中心とした事業構築を図り、ケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる」仕入れ先に値引きを強要するのではなく、生産性を上げて効率化を図ることで成長を目指すという。製造業でもないのに「生産性の向上」というのも面白い発想です。販売店では1店舗あたりの従業員を最小に抑えることが生産性のアップに繋がるのです。少ない経費でたくさん売れば当然利益率は上がりますから。そんな加藤社長が考える経営とは、社員が普通に頑張れば儲かる仕組みを作ることであり、頑張れ頑張れと連呼することではないと言います。なかなかそんな会社は少ないのでしょうね。

株式会社ケーズホールディングス-IR情報

しかし内輪では、『従業員を一番大切にします』と言っているんですよ。二番目が取引先で、最後がお客さんです。こんなことは表だって言えないですが、ただそれはお客さんを軽視しているわけではないんです。本当の意味でお客さんを大切にするには、まず従業員を大切にしなければ、それは実現できないと言っているだけなんです。

私は、『経営は終わりのない駅伝競走』と言っているんです。会社は経営者がバトンタッチ(交代)しながら、続いていくわけです。

労働生産性とは、従業員一人あたりの粗利益のことである。加藤社長は、その労働生産性のアップに成功するためには、二つの経営手法を取ることだと指摘する。ひとつは、加藤社長の持論「がんばらない経営」を従業員に浸透させることである。難しいことを無理にやろうとして時間と労力をムダにするよりも、着実に実行できることを根気よく続けるほうが効率がいいというわけである。二つめは「強い経営」を目指すことである。加藤社長によれば、「強い経営」とは経費率が低いことである。≪いかに費用をかけずに運営できるかが強さを生み、安定成長につながる。”仕入れを安くする”とは、”授業員に頑張らせる”のではなく、”無理をしなくても利益が出る”、”真面目にやれば誰でもできる”仕組み作りをする≫ことだ。つまりローコスト経営である。

「親の教えといいますか、父がだいたい『損して得取れ』みたいな発想で、(経営を)やってきたんです。私も若い頃は、『なんで、そんなもったいないことをするんだ。こうすれば、もっとうまくやれるのに』と思ったものです。ちょっと言葉を言い換えますと、『うまくいく』ということは『ズルくできる』のにという意味です。ところが、そんな経験から何年か経ってみると、『ああ、やっぱり親父の言うほうがうまくいくな』ということが何回かあったんです。私は、そこ(父の心境)まで達していませんから、迷ったら最初から損するほうを選べばうまくいくと考えたんです。普通は、目で見て得するほうを選ぶわけだよね。ところが、それで世の中がうまくいっていないんだったら、損するほうを選べばうまくいくと。これが、能力のない人間の簡便法として役に立つわけです」

M&Aによって売上高を増やす、つまりバイイングパワー(優越的な購買力)を高めることでメーカーからの仕入れ値を下げる、商品の安売りを実現するという考えよりも、加藤社長は規模拡大によって広告費や情報システム、物流面でのローコストが可能になるから、経費の大幅な削減が進められると考え、低コストによる利益確保を目指しているというのである。