Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

プロダクトアウトとマーケットイン


2月18日に大阪市内で開かれた第41回VE関西大会に参加してきました。プログラムはこんな感じです。

基調講演 『ものづくり新時代』
VE事例 『ライフサイクルコストで見た製品の価値向上』
技術講演 『常識を打ち破り大ヒット!全自動トイレ「アラウーノ」の開発』
VE事例 『1図面VE手法の概要と実践事例』
パネルディスカッション 『原価企画の成功に向けて』〜成功要因とうまい推進のやりかた〜
特別講演 『顧客価値を想像するハーレーダビットソンジャパンのマーケティング』

第41回VE関西大会開催レポート



アラウーノの話が面白かったです。パナソニック電工の開発グループ長が講演されたのですが、アラウーノの開発ではそのデザインを著名なデザイナーに依頼したそうです。社内デザイナーもいるのですが、これまで社内デザイナーが例えば斬新な形を提案しても、技術陣から「こんな形作れない」「現場をわかってない」と突き返されデザインの修正を繰り返した結果、元の面影すらなくなって、結局平凡な商品となってしまったとか人事とは思えない話でした。デザインを外部に委託したことにより、デザイン絶対となり、どうしたらその形状をこのコストで作れるか考えに考えぬいたのです。いや著名デザイナーにも技術陣からの反発もあったそうですが、そのときに言われた言葉「そうやってきて売れていないのでしょ!」とバッサリ斬られたそうです。今回は技術陣の退路を絶ったわけですね。そんな苦労を乗り越えて完成したアラウーノは大ヒットし、発売前のパナ電工の市場シェア数%だったのがナント25%を超えるまでになったそうです。

第18回 読者が選ぶ「ネーミング大賞」アラウーノ(全自動おそうじトイレ)松下電工


もうひとつ。価格設定の考え方で、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」という言葉があります。
プロダクトアウトとはいわゆる積み上げ方式です。設計にいくら、製造にいくら、テストにいくらなど自社のコストを積み上げて最後に希望利益を足して価格を決めるやり方です。価格設定の主導権がメーカーにあります。一方のマーケットインとは、この値段なら買ってもらえるという価格が出発となり、そこから希望利益を差し引き、残った金額で各工程のコストを分担するやり方です。価格設定の主導権がマーケットにあります。
差別化が図りにくく複数社がひしめき合っている業界、とくに労働集約型の建設業はどう考えてもマーケットインです。いわゆる「下請け」の業界は徹底的にコストダウンするしか生き残れないし、オリジナル商品を保有しかつ競争力があればプロダクトアウト志向でも生き残れるのでしょうね。

自分の仕事の場合、商品やサービスごとにどちらに当てはまるか考えてみるとよいですね。プロダクトアウトで食べていければベストですが、情報処理サービスは完全にマーケットインです。新商品にいかに競争力を持たせることができるか、生き残りの鍵だと思いました。


原価企画の話も興味深く聞けたし、非常に有意義な大会でした。