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[東野圭吾] ダイイング・アイ


ダイイング・アイ (光文社文庫 ひ 6-11)

ダイイング・アイ (光文社文庫 ひ 6-11)

雨村慎介は何者かに襲われ、頭に重傷を負う。犯人の人形職人は、慎介が交通事故で死なせた女性の夫だった。怪我の影響で記憶を失った慎介が事故について調べ始めると、周囲の人間たちは不穏な動きを見せ始める。誰が嘘をつき、誰を陥れようとしているのか。やがて慎介の前に妖しい魅力に満ちた謎の女が現れる。女の正体は、人形職人が甦らせた最愛の妻なのか?


なかなか面白く読めた。ちょっとホラーっぱい要素もあるが、根本にあるのは「さまよう刃」のような犯罪被害者に対する鎮魂であると思った。本作品では交通事故の被害者と加害者の問題をさりげなくではあるが取り上げていて、その巧妙なストーリー展開にどんどん引き込まれていく。実際に被害者であれ加害者であれ交通事故に遭った人なら簡単に「ホラー」とは言えないと思う。本書のタイトルこそが謎解きのキーワードであったと読了後に気づいた。