Yasublog

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東京ゲートブリッジ最後の一括架設リポート


先週の日曜日、建設中の東京ゲートブリッジ最後の架設を見てきたのでその様子をお届けします。

何でこんな形なの?

まずどんな橋梁かおさらい。アプローチ含む全長2933m、海上部は1618mでレインボーブリッジの約2倍あります。主橋梁は鋼3径間連続トラス・ボックス複合橋でその支間長440mは世界最大級です。ガントリークレーンをイメージしたデザインは特徴的で、まるで恐竜のようですね。普通は吊橋か斜張橋になってしかるべき長大橋なのになんでこんなへんてこりんな形式なのかと言うとね。桁下は大型客船が通過できる航路の確保、桁上空は羽田空港の空域制限。この連立方程式を解いたらこんな形になったって訳。これまでの建設経過はこちらを参照してください。すべり型免震師匠、もとい支承、溶接性のよい新型鋼材、大型Uリブの採用など、最新技術が満載の橋なのです。

閉合って?

中央径間の閉合(橋梁全体が繋がること)という架設工事において最大のイベントは好天の中で行われました。前日に3000トン吊級の大型起重機船「富士」が1600トンの桁を吊上げてスタンバイ。日曜日の早朝より橋梁の中央部に吊った桁を落とし込む作業が行われました。記念すべき日なのに『閉合式典』はなぜか行われませんでした。桁の損傷事故で供用スケジュールが延びていることで自粛モードだったんでしょうね。

セットバックって?

下の動画はR360さんが撮影・編集されたものです。全長108mの桁を落とし込むのに108mの隙間では絶対落とし込むことはできません。あらかじめ架設する桁の長さよりも若干大きめの隙間を設けておく必要があります。それをセットバックといいます。今回の工事では前日までに若洲側トラスを25cm若洲方向にセットバックを行っていました。1万トン近いトラスを橋脚上で500トン油圧ジャッキ8台用いて動かすのですね。すごい!

架設する桁の両端に取り付けられたセッティングビームを所定の位置に据え付けたあと仮ボルト締めを行い、その後FC船が荷重開放をして後退します。夕方ごろにはFC船の荷重開放があり、現場を離れたようです。
この日の架設作業はここまでで、翌日以降にセットバックしている若洲側トラスを元の位置に戻してから6000本×2カ所のボルトで連結していきます。あ、当日の架設作業者数は聞き忘れました(汗)。

当日は注目度の高さから約1000人もの見学者でいっぱいでした。取材のヘリやTVカメラも多かったです。国土交通省の方も説明役で来られていました。テントを張るのじゃなくて屋台でも出せばいいのに、と思ったりもしました。