［佐々木譲］ 暴雪圏

暴雪圏 (新潮文庫)

三月末、北海道東部を強烈な吹雪が襲った。不倫関係の清算を願う主婦。組長の妻をはずみで殺してしまった強盗犯たち。義父を憎み、家出した女子高生。事務所から大金を持ち逃げした会社員。人びとの運命はやがて、自然の猛威の中で結ばれてゆく。そして、雪に鎖された地域に残された唯一の警察官・川久保篤巡査部長は、大きな決断を迫られることに。名手が描く、警察小説×サスペンス。

携帯の出会い系サイトで知り合った男との不倫関係を解消しようとしている主婦。組事務所に強盗に入ってはずみで組長の妻を殺してしまった強盗犯。小料理屋を営む母親の再婚相手の仕打ちに家出した女子高生。体調不良から将来を悲観し会社事務所の金庫から大金を持ち逃げした会社員。暴風雪のある日、偶然にもそれぞれの物語の主人公がペンションに引き寄せられる。警察小説の名手が描く保安官サスペンスはなかなか面白い。