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[南場智子] 不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦

チームDeNAは、なにもそこまでフルコースで全部やらかさなくても、と思うような失敗の連続を、ひとつひとつ血や肉としてDeNAの強さに結びつけていった。とてもまっすぐで、一生懸命で、馬力と学習能力に富む素人集団だった。創業者が初めて明かす、奮闘の舞台裏。


IT系起業家の中で一番好きな経営者南場さんのDeNA創業から現在までの書き下ろし。もともと南場さんのブログが面白かったのです。賢くて熱くてユーモアがあってほんと最強経営者です。本書には「チーム」という言葉があちこちで登場します。そこには夢の下に集まった仲間と濃い有限の時を過ごす高校野球のように「チームでプレー」することの素晴らしさが語られています。『八重の桜』に出てくる「断固としてこどを行う時、人は皆狂気だ」という言葉。南場さんは創業時の狂気に加えてとびきりのユーモアがあり人を惹き付ける魅力が半端ないんだと思います。

このときふたりから、調整ではなく決めるのが仕事であること、最後は自分の腹に聞くことを教わった気がする。(P23)

同じ目標に向かって全力を尽くし、達成したときのこの喜びと高揚感をDeNAの経営の中枢に据えよう。そう決めた瞬間だった。(P46)

病はこれまで経験したことのない苦しみや悲しみを突きつけた。けれども、いくつかの大事な拾い物をした気がする。私は人に喜びを伝えるのは下手なほうではないが、「今年も家族で桜が見られてよかった」という喜びは、なかなか伝えるのが難しい。同じ桜なのに、こんな気持ちで見ることができ、また、だからこそ開花が待ち遠しくわくわくできることは、私の人生に新しい彩りを添えた。蝉の声もそう。満月も。自然には、人間や企業のすったもんだに惑わされず、きっちり刻むリズムがある。大きな宇宙の営みのなかで少しの時間だけ存在することが許されている、はかない生き物の私たちだからこそ、一緒にいられる喜びや、人の気持ちの温かさ、皆が元気で何かに一生懸命になっていることなどが、とても尊く感じられるのだ。私はこの拾い物が気に入っている。(P192)

「社長の一番大事な仕事は意思決定」

事業リーダーにとって、「正しい選択肢を選ぶ」ことは当然重要だが、それと同等以上に「選んだ選択肢を正しくする」ということが重要となる。決めるときも、実行するときも、リーダーに最も求められるのは胆力ではないだろうか。(P205)

ビジネススクールに行くことで人脈ができるのでは、ともよく訊かれるが、そうも思わない。逃げずに壁に立ち向かう仕事ぶりを見せ合うなかで築いた人脈以外は、仕事では役に立たないと痛感している。誰もが自分のことで忙しいときに、自分の仕事の最短ルートから少し外れてでもほかの誰かのために何かをしようとするならば、それは、ひたむきな仕事ぶりに魅せられた相手に対してだけなのではないだろうか。(P220)

話は少しそれるが、私はもともとあまり上下関係が好きではなく、DeNAは社風面でも組織構造の面でも実際とてもフラットになっている。「経営課題の前に階層なし」である。階層の陰に隠れる人は皆無にしたいという意味で、組織を球体のイメージで捉え、全員に球の表面積を担ってもらうことにしている。球は見る角度によって無数の真正面がある。自分が対峙している相手に対してはDeNAを代表してもらいますよ、ということだ。(P222)

“選択”に正しいも誤りもなく、選択を正しかったものにする行動があるかどうかだけだと信じています。(P229)

南場さんのブログ、読んだことない人は面白記事をピックアップしたのでどうぞ。

シアトル便
http://ameblo.jp/nambadena/entry-10333261378.html

本採用面談
http://ameblo.jp/nambadena/entry-10244792630.html

復路機内にて
http://ameblo.jp/nambadena/entry-10156500285.html

国際展開は意志力で。
http://ameblo.jp/nambadena/entry-10096067261.html