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[池井戸潤] ルーズヴェルト・ゲーム


「一番おもしろい試合は、8対7だ」野球を愛したルーズヴェルト大統領は、そう語った。監督に見捨てられ、主力選手をも失ったかつての名門、青島製作所野球部。創部以来の危機に、野球部長の三上が招いたのは、挫折を経験したひとりの男だった。一方、社長に抜擢されて間もない細川は、折しもの不況に立ち向かうため、聖域なきリストラを命じる。廃部か存続か。繁栄か衰退か。人生を賭した男達の戦いがここに始まる。


下町ロケット」シリーズのような大逆転企業小説。本作は社会人野球部の存続問題も相まって面白い。ルーズベルト大統領が野球で一番おもしろいスコアは8-7と言ったそう。七転び八起きの数字と一緒なのは偶然かな。一番努力した人・会社が報われるのはいいもんですね。

「会社の数字には、ヒトの数字とモノの数字がある。仕入れ単価を抑えるといったモノの数字ならいくら減らしてもかまわん。だが、解雇を伴うヒトの数字を減らすのなら、経営者としての”イズム”がいる」青島会長 P52

「この工事が作っているのは、カネ儲けのための製品だけじゃない。働く者たちの人生であり、夢だ。いまこの会社の社員として働くことに、夢があるだろうか。彼らに夢や幸せを与えてやるのもまた経営者の仕事だと思うんだが」青島会長 P216

「野球で一番おもしろいといわれているスコアがいくつか、知っているか」「八対七だ」「ルーズベルト大統領が、もっともおもしろいスコアだといったというのがそもそもの起源でね。ルーズベルト・ゲームだ」青島会長 P285

「ところがその後、経済成長は終わり、それを境に世の中はもの凄い勢いで変わっていった。オイルショック、さらには近年のバブル崩壊を減るうち、世の中は見違えるほどの変貌を遂げたが、中でも一番変わったのは、個人の有り様ではなかっただろうか。働くということ、社員と会社の関係、そして野球という娯楽に対する考え方。かつて社員たちが全員で共有していたほぼ単一的な価値観が世の中の変化とともに多様化していったんだ。同時に野球部に対する社内の見方も変わっていったような気がする」青島会長 P353