Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

[川村元気] 世界から猫が消えたなら

郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」という奇妙な取引を持ちかけてきた。僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計…僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。二〇一三年本屋大賞ノミネートの感動作が、待望の文庫化!


タイトルから何となく想像していた内容と違った。ファンタジーなようで違うのは、飼い猫、家族の死を通して家族の再生を描いているという、とてもリアルな物語だと思ったから。「家族って『ある』ものじゃなかった。家族は『する』ものだったんだ」「何かを得るためには、何かを失わなくては」「人生は近くで見ると悲劇だけれど遠くから見れば喜劇だ」「道を知ってることと、実際に歩くことは違う」「大いなる力には大いなる責任が伴う」「私には傑作は残せなかった。だか人を笑わせた。悪くないだろ」名作の引用など、文章が読みやすくて心地いい。