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[梅棹忠夫] 知的生産の技術


知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)

学校では知識は教えるけれど知識の獲得のしかたはあまり教えてくれない。メモのとり方、カードの利用法、原稿の書き方など基本的技術の訓練不足が研究能力の低下をもたらすと考える著者は、長年にわたる模索の体験と共同討論の中から確信をえて、創造的な知的生産を行なうための実践的技術についての提案を試みる。


ノートのかわりにカードでメモを取るのはいいなと思った。機能や目的などをカードにしてフローを作るのはVEにも通じる。常に物事をシンプルに考えることができるようになると思う。普遍的なものがある一方で、この本が世に出てから40数年経った現在はインターネットやモバイルなどの情報技術の革新で、知的生産活動も変わってきているのも事実。

ここで知的生産とよんでいるのは、人間の知的活動が、なにかあたらしい情報の生産にむけられているような場合である。とかんがえていいであろう。この場合、情報というのは、なんでもいい。知恵、思想、かんがえ、ほうどう、叙述、そのほか、十分ひろく解釈しておいていい。

世の中には、一見乱雑にみえて、その実、まったく整理のいい人がいる。逆に、本や書類を整然とならべているくせに、必要なときには何もでてこないという人もある。整理がよくて整頓のわるい人と、整頓がよくて整理がわるい人がいる、というわけである。整理は、機能の秩序の問題であり、整頓は、形式の秩序の問題である。やってみると、整頓よりも整理のほうが、だいぶんむつかしい。たとえば、書斎のなかをきれいに整頓することは女中でもできるが、整理することは主人でないとできない。

知的生産の技術のひとつの要点は、できるだけ障害物をとりのぞいてなめらかな水路をつくることによって、日常の知的活動にともなう情緒的乱流をとりのぞくことだといっていいだろう。精神の層流状態を確保する技術だといってもいい。努力によってえられるものは、精神の安静なのである。