Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

最近読んだ本

ゲーム性の高いミステリーかなと思ったけど、どちらかというと人間ドラマに重きがおかれた小説な気がした。人生最初にしてある意味最大のイベント・戦いである高校入試を多感な受験生、その親、家族、学校の教師。関係者の行動を通して、悪意、正義、守るべきもの、覚悟=責任の取り方など、考えさせられる面白いストーリーになっていた。著者はもともと教師経験があるらしい。試験の採点なんて属人的な要素が入る余地がないと思っていたが、統一ルールがないところもあって物語のようなトラブルが発生する。会社組織における昇進昇給の評価ならなお一層難しいわけだ。合格・不合格、勝ち・負け、とかく二分される。仕方ないにしろ、すべての挑戦者の未来に幸あれ、と思う。いろんな生き方があるよ、と道標を示す教師という仕事は貴いとも思った。


ヒーローインタビュー (ハルキ文庫)

ヒーローインタビュー (ハルキ文庫)

ヒーローのことを語るインタビューでヒーローインタビュー。人にとってのヒーローはなにも大スターだけじゃない。元スカウト、元高校球児、市井の主婦、人それぞれ事情を抱えて人生を送っている。プロ野球との距離感も人それぞれ。後半は切なくて泣けるけど前向きになれる野球小説の新境地。



首都東京の市街地で国籍不明のテロ集団による攻撃が始まるというトンデモストーリー。総理大臣による自衛隊員に向けた防衛出動を命じるときのメッセージには感動した。「自衛官が持つ英雄的な心とは、死を恐れぬ心ではなく、弱きを守るために自らの恐怖を克服できる心だ」、地名や隅田川に架かる橋が実存する名前だけにリアルに迫ってくる。平和が一番



登場人物のキャラ付けの巧さが際立つこの世界観描く西加奈子はすごい!「通天閣」もよかったけど。漁港のある田舎町で訳ありの母子家庭を描いたヒューマン小説。盲腸で入院したシーンは泣いたよ、まったく。中盤から後半にかけて絡まっていた糸がほどけていくように母娘の事実が明らかになっていく感じか心地よい。事情を抱えた家庭に育った子は早く大人になりたいという心理描写、甘酸っぱいものが込み上げてくる。