- 作者: 海堂尊
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/10/06
- メディア: 単行本
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東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌―網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。
会社の上司が貸してくれました。著者の前作「チーム・バチスタの栄光」の続編となっているが、アマゾンのレビューではデビュー作がすごかったせいもあるのか評価が分かれている。前作どうよう医療現場の実際を問題提起しているのと、田口と白鳥や加納の丁々発止のやり取りも面白い。看護師の女性・小夜が天性の歌唱力を持っていて彼女が歌うと聞いた人が共通の画像が脳裏に映るという超常現象がキーとなって展開する。歌が聞く人に一定の画像をイメージさせるというSF設定はミステリー小説にはふさわしくないかもしれないが、癌に侵された眼球を摘出して盲目で生きていかなくてはならない子供の運命を嘆き、眼だけが「見る」を掌っているのではなく、人間には頭や心にも眼があってイメージすることができるんだよという勇気のメッセージが込められているのかも知れない。
「ジェネラル・ルージュの凱旋」も面白いみたい。