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[歌野晶午] 葉桜の季節に君を想うということ


葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして──。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。


完全にやられました。ミステリー大賞を取るだけのことはあります。読んだ人は分かると思いますが、この作品は映像では成り立たないです。文章を映像に変換してイメージしながら読むのですが、最後には大きく裏切られる展開になります。日本人が絶賛し魅了する桜の満開の瞬間と、人の人生が最も輝く瞬間は30歳までだという感傷を重ね合わせ、桜は春に満開になったあと人々に忘れられる時間のほうが圧倒的に長いがそれでも夏には緑をつけるし秋には紅葉するし淡々と生きているのだと。人間も満開のあともたくさんの花を咲かそうよという人生の晩年に差し掛かっている人々への応援メッセージにもなっていると思います。