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VE提案


昨今公共事業の入札においても、総合評価方式のひとつ「VE提案」型が増えてきています。このVE提案とは、「一つの目的を達するための手段は数多くあるという前提にたって、機能や性能を低下させることなく、全体工事費の縮減を可能とする資材調達方法、工事内容及び施工方法等の手段を積極的に採用して行く」とあります。
例えば、多少工事費用が高くついても独自の技術力をもって工事期間を短縮し開通を早めることができれば経済効果により、結果その工事の価値は高い、と評価されるのです。安かろう悪かろうではダメで、当然安くて良いものを求められますが、少々高くてもさらに良いものであれば価値向上(Value Up)として評価していこうという世の中の流れがあります。
この考え方は、平成17年4月1日施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(公共工事品確法)の精神によります。この法律の大きなポイントは次の3つあります。

  • 公共工事の品質確保に関する「基本理念」及び「発注者の責任」の明確化
  • 「価格競争」から「価格と品質で総合的に優れた調達」への転換
  • 発注者をサポートする仕組みの明確化

まじめな建設業者を適正に評価するため、従来の価格競争のみの入札方式を改め、価格と品質(企業の技術力)などを総合的に評価して落札者を決定することを打ち出しています。

ただこのVE提案方式のもとでの競争も激化しており、入札時に提出する工事計画書などで自社の点数アップのために他社との差別化を図る提案を盛り込みすぎる、いわるゆ「過剰品質」の問題も出てきています。どういうことかと言うと、競争の激しい定食屋街で標準的な700円のコロッケ定食があるとします。でもお客さんを店に呼ぶためにうちはコロッケもうひとつ付けますよ、とか、うちはさらにエビフライまで、いやうちならコロッケ食べ放題だ、と競争が激しくなるとどうなるでしょうか。お客さんはランチにはコロッケ2個と味噌汁とご飯1杯で十分満足なのに、一番サービスのいい店に決めなければならないので、結果過剰な量のランチを食するハメになるのです。コロッケの味での差別化には限度があるので、あとはサービス合戦になってしまうんです。お客(発注者)にもあまり喜ばれないし、お店の利益は低下する一方です。事実一部の発注工事ではこのような問題も起きているのです。
このような問題を解決するために発注者、受注業者、利用者の3者すべてに利益をもたらすようにと「三方良しの公共事業改革」などの取り組みも行われています。