Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

ちんまいトンネル


そうそう、ちんまいトンネルやから這いつくばって・・・。じゃなくて、「沈埋トンネル」ね。


土木の日(11月18日)にちなんだ関連行事、土木学会関西支部主催の

沈埋トンネルって何?⇒海底探検でその謎を解け!〜日本で「最初」と「最新」の沈埋トンネルを見に行こう!〜

に参加してきました。見学したのは、大阪の咲洲〜夢洲間を道路と鉄道で結ぶ夢咲トンネルです。(最初は夢洲トンネルという名称でしたが、公募で「夢咲トンネル」に決定しました
職業柄、いちおう沈埋トンネルは知ってました。長さ100m幅35m程度の鋼製の函体(箱形状)を工場で製作して、現場に船で曳航します。壁にコンクリートを打設して沈めて海中で繋ぎ合わせていきます。1つの沈埋函で3万トンにもなるそうです。
通常の孔を掘っていくシールド工法との違いもよく分かりました。同じ条件位置では沈埋工法のほうがトンネル全長は短くて済み同時に工期短縮が可能なこと。橋梁を飯の種としているYasuにとって沈埋工法は強力なライバルになりますが、切磋琢磨して技術を伸ばして行ければいいですね。




施工手順はこんな感じです。

  1. 沈埋函製作
    • 沈埋函を造船所のドック、または海上で製作します。
  2. 基礎工事
    • 沈埋函を設置するための溝を掘り、設置部分を平坦に均します。
  3. 曳航
    • 両端をバルクヘッドという蓋で閉鎖して、浮上後に船で目的地まで牽引します。(閉鎖することにより、中に空気を閉じ込めて、沈埋函を浮上させます。)
  4. 沈設・接合・埋め戻し
    • アンカーワイヤーで位置を調節しながら所定の位置に設置し、沈埋函を既往の沈埋函と連結します。その後、埋め戻します。
  5. 内部構築
    • 内部に道床コンクリートなどを打設し、道路などを構築します。

近畿地方整備局 http://www.pa.kkr.mlit.go.jp/kobegicyo/sekkei/tinmai.html


今回参加して勉強したこと。

工場製品なので現場施工と違って品質精度は格段に向上するので、沈埋函を沈めたあとの現場作業は楽。(鋼製橋梁も同じことが言えます)

ひとつの沈埋函で3万トンもあるのに、沈埋函を埋める理由。

  • 水中ではそのままでは安定しにくいので浮力を押さえる役目。
  • 沈埋トンネルを横切る船が万一アンカー(イカリ)を沈めてしまい、鋼殻に直接当たる事を防ぐ役目。

鉄に絶えず微量な電流を流しておくと錆びない。

「土木」の特徴

  • 過去の技術の上に新しい技術を継ぎ足していく。ITのような革新はない。
  • 大きなものを作る土木はチームワークが特に大事。
  • 無くなって初めて有り難みがわかる。


お医者さん同様、土木も専門性が高い職業ですがユーザーへの分かりやすい言葉での説明責任(アカウンタビリティー)が求められる時代なんだな感じました。今日も休日にも関わらず土木学会の会員の人がたくさん案内役で参加されていました。ボランティアでしょう。いろんな質問にも丁寧に答えられていて、まるでツアコンのようでした。こういう志の人がいる限り、日本のインフラは荒廃しないだろうなぁと思いました。