Yasublog

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[恩田陸] ユージニア

ユージニア (角川文庫)

ユージニア (角川文庫)

「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」こんな体験は初めてだが、俺は分かった。犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ―。かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いったい誰がなぜ、無差別殺人を?見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実を語っているのか?日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー。


読み終えた感想、「で、結局犯人は誰なの?」おおかた想像はつくけれど語られずに終わっている。そこは読み手が判断しなさいってことかな?直木賞候補にもなったこの作品、読み手のレベルが問われる。

内容は、北陸のK市(金沢と思われる)にある名士の青澤家で米寿を祝うパーティーがあった日、十数名が死亡する毒殺事件が起こる。一族で唯一生き残った当時小学生の青澤緋紗子、近所に住む緋紗子と年の近い雑賀兄弟、事件を振り返った「忘れられた祝祭」を書いた大学時代の雑賀満喜子と後輩の大学生、事件を追う刑事と婦人警官、青澤家で家政婦をしていた母とその子供。20数年後、事件関係者へのインタビュー形式、いわゆる回想形式で物語は展開していく。小説としてはよく出来ているんだろうけど、ミステリーとしては?あくまで読み手に任せる手法なのだろうか。百日紅(さるすべり)、赤い花、白い花、真っ黒な空、黄色いレインコート、青い部屋など多彩な色使いが上手いな。