Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

[武田鏡村] 岩崎弥太郎 不屈の生き方


岩崎弥太郎 不屈の生き方

岩崎弥太郎 不屈の生き方

先が読めない時代こそ、豪胆に逞しく己を貫け!
 欧米列強のアジア侵略の脅威が迫る幕末に土佐の貧しい地下浪人の家に生まれた弥太郎。海運・貿易・殖産による富国強兵策を積極的に推し進める参政・吉田東洋に見いだされた彼は、藩貿易、先進技術の導入を求め、長崎へ。数々の苦難に見舞われ雌伏の時を経るも、時代は彼に活躍の舞台を与え、海援隊坂本龍馬に引き合わせた。後藤象二郎とともに龍馬を援け、薩長同盟大政奉還の実現に奔走する。やがて龍馬の志を引き継ぎ、三菱を創業、日本の海運・貿易を担うまでに。本書は、己の信念を貫き、近代日本の夜明けを雄渾に生きた男の生涯を描き上げる。


三菱グループ創始者、岩崎弥太郎の一生を書いた本。知らない人がたくさん登場する歴史物は苦手だけあって理解しないまま読み進めたが途中で断念。最後の章の「第3部 弥太郎、三菱を創業する」は面白そうだったので興味深く読めた。創業者の弥太郎が海運業、鉱業、造船、貿易、金融、保険、鉄道、倉庫などの一大グループを築いたのだが、日本が近代化していく上で欠かすことのできない会社であるし三菱グループに関わらずに生きている人はいないだろう。坂本龍馬と仲が良かったそうで、本書中にも龍馬の名が度々登場する。ん、歴史は深い。もうちょっと勉強しないと。下は現在の三菱重工の社是。シンプルだが弥太郎の理念が生きているなと思った。

一、顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する。
一、誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする。
一、世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める。
社是(昭和45年6月1日制定)

それまで大阪商会で使っていた藩船には、藩主の家紋の三つ葉柏の旗が翻っていたが、これも変更する必要があった。そこで弥太郎は、柏の葉を菱形に変えた。岩崎家の家紋の三階菱も菱が三であることから、見方によっては土佐藩の船に見える。うがった見方をすれば、岩崎家の船にも見えるものである。

龍馬が生前「世界の海援隊」を考えていたのであるが、それになぞらえるならば弥太郎は、「世界の岩崎」になる道を歩んでいたのである。それは、やがて「世界の三菱」になっていく。

「得意先の番頭や小僧に頭をさげると思うからこそ、腹も立が、金に頭をさげると思えば我慢できよう。この扇子を進呈するから、この扇子を取り出してみなさい」

三菱は、弥太郎の経営精神を引き継ぎながら、実業人の品位や教養の向上に努めた。三菱が社員に強調していた社訓がある。
「一.政治に関与し、一党一派の利益に左右されてはならぬ。二.投機的利益の獲得に走るのは、実業の正道ではない。正常なスペキュレーションと投機とを区別せよ。三.中小企業者と競争して、これを圧迫するがごとき企業を避け、国家的必然性のある事業を選定せよ」