Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

問題を解決するしくみ


問題を解決できる人と、問題を解決できない人の違いって、どこにあるのでしょうか。


旭区長が区内在住の高校生K君から受け取った要望書を読んで、K君のやさしいさにあふれた行動に感動し、橋下大阪市長を巻き込んで解決に動いた話が、示唆に富んでいたので転載したいと思います。


大阪市 旭区 K君のこと


K君自身が病気で入院したときに経験した不安をこれからは無くしたいと思い行政に訴えたこと、区長と市長のホットライン、大阪トップのすばやい行動など、すばらしい話のオンパレードです。行政は日々いろんな問題を抱えていて、すぐにでも解決できること、時間がかかること、いろいろあるでしょうが、リーダーシップってこういうことだと思うのですよ。上役の「とりあえず承っておきます」、「検討します」ことの無意味さを痛感します。(悲しいかな問題を先送りする人が出世できる組織が多いですが・・・)


大きな組織になるほど、「正式なルート」、「然るべき手順」に従って動く事を要求されますが、時間が経つほど、人を介すほど、当事者が感じる問題解決への想いや鮮度が落ちていき、問題の本質から外れた議論も加わったりで、無駄に時間だけが経過してしまいます。


問題を解決できる人は、「決定する仕組み」を作れる人ってことだと感じた話でした。

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 平成24年1月31日(火)の夜、ある決裁を手に取りました。区内の高校生K君からの要望でした。

 高校生からって珍しいな、と思いながら中を読みました。

 彼は、中学生の時重病になって長期入院したとのこと。私はよく知らなかったのですが、大きな病院などで学齢期の小中生が一定以上いたら○○小・中学校の院内学級といって病院で授業を受けたり、時には学校の行事に参加できたりするそうです。彼は「そこで学んだことや体験したこと、時には皆で遊んだことなどの記憶は今でも鮮明に蘇ってきます」と書いています。

 彼はその後無事退院し、よほど努力家なんでしょう。すごい名門高校へ進学しました。しかし再発して再び入院。ところが院内「高校」はないのです。彼は自力で友達に頼みSkype(インターネットを通じ無料でビデオ通話できるシステム)を使って授業を中継してもらっているそうです。
 K君は、東京都で院内高校ができたと聞いて大阪でも作ってくださいと要望を出してきたのです。K君が凄いのは要望するだけじゃなく(いや、現在でも要望だけじゃなく、もの凄く努力しているのですが)、同じ悩みを抱える仲間の不安を解消するため情報交換会を立ち上げ、また、勉強会(ある公立高校の先生がボランティアで教えに来てくださっているそうです)なども始めているところです。
 次の文章には泣けました。(彼は)高二だし、まもなく退院と言われているから院内高校ができても多分通うことはないだろう。「しかし、これから入院してくる高校生や、まだ入院している高校生のために何か役に立ちたいのです。自分や自分と同じような不安に駆られた人と同じような思いはしてほしくないのです」。

 私は感動してしまって、「府や市の教委にしっかり要望は伝えるし、橋下市長には直接メールします」とK君に直接メールしてしまいました。

 翌日(2月1日)、その日は本庁で11時15分からの所属長会に出ることになっていました。出かける前にK君のメールを要約して、彼からの文章もファイルで添付して市長にメールしました。市教育委員会の知り合いに「院内学級ってどこと話をしたらいい?」と電話もしました。「市民の声」という決裁で市教委にはあがっていくのですが、自分でも説明に行こうと思ったのです。市長へのメールでは、K君にひとことでいいから何かメールで声をかけてくれませんかということを頼みました。

 所属長会には、当然市長が出ておられました。1時過ぎに区役所に帰ってメールをチェックすると、市長からメールが届いていました。

 市長は既に各幹部や府、市の教委などに指示を出しておられ、K君への長いメッセージも寄せていただきました。僕ら政治家は大きな話をしたがるが、K君一人を救えないなら政治なんか要らないと書いてありました。K君には、君たちの存在に思いが至らずごめんねと詫びて、君の努力には力をもらったと感嘆されていました。
 私は、市長からK君に届けてくれと言われたメッセージをK君にメールしました。携帯のメアドだったので、何回かに分けて。病院だから多分メールをチェックしたり送信するのも制限があるのでしょう。しばらくたってから彼から「素早く対応してもらってすごく嬉しい」というメールが返ってきました。

 私はそれを市長にメールしようとしたら、それより早く市長から府教委が対応してくれることになりましたというメールが届いていました。もの凄いスピードで大阪市は変わろうとしています。



(市長の許可はいただいていませんが、皆さんにもお伝えしたいので、市長からK君へのメッセージ(抄)をご紹介します)




 K君、貴重なご意見を頂きありがとう。

 市長としてK君のこのような状況に思いが至らず、本当にごめんなさい。



 僕ら政治家は大きな話をしたがるけど、K君一人を救えないなら政治なんか要りません。



 これまで不便をかけて本当にごめんなさい。

 K君の意見で、同じような状況で困っている友達が、これからたくさん救われます。

 K君、人生しんどいことがあっても頑張れば必ず報われる。人生捨てたもんじゃない。日本社会は捨てたもんじゃない。

 K君の頑張りは、文章から溢れんばかりに伝わってくる。

 僕ももう一頑張りしないといけないと、エネルギーをもらったよ。



 今回のK君の行動こそ公の行動。勉強させてもらいました。

 人生なんて楽なもんじゃない。それでも価値がある。

 お互いに頑張ろう!



 2012年2月1日

 大阪市長 橋下 徹