Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

[貫井徳郎] 灰色の虹

灰色の虹 (新潮文庫)

灰色の虹 (新潮文庫)

身に覚えのない上司殺しの罪で刑に服した江木雅史。事件は彼から家族や恋人、日常生活の全てを奪った。出所後、江木は7年前に自分を冤罪に陥れた者たちへの復讐を決意する。次々と殺される刑事、検事、弁護士……。次の標的は誰か。江木が殺人という罪を犯してまで求めたものは何か。復讐は許されざる罪なのか。愛を奪われた者の孤独と絶望を描き、人間の深遠を抉る長編ミステリー。

「冤罪の作り方」の教科書を読んでるようにも思えて怖かった。権力の向こう側とこちら側の圧倒的な差になす術がないもどかしさ。格差社会も同じ問題を抱えていると思う。取調室に閉じ込められて刑事に執拗に問い詰められたら…。同様の復讐小説は東野圭吾さまよう刃』にもあるけど復讐自体は最後の最後、果たされなかった。本作は故意・過失に関わらず警察の捜査ミスが冤罪を生むことにより発生する不幸の数は比ではないという現実に警鐘を鳴らすものだとも思った。