Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

[山口絵理子] 裸でも生きる


裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

一歩踏み出す勇気がここにある!
イジメ、非行……居場所がなかった青春。強くなりたいと入部したのは「男子柔道部」。そして偏差値40から3ヵ月で一流大学合格。大学を卒業し、本当の現場を見たいと渡ったアジア最貧国バングラデシュ。腐敗にまみれた国で見つけた眠る素材、出会う人々。やがてバッグ造りで起業を決意。数々の失敗、挫折、裏切りに遭いながらも歩みを続け、途上国発ブランド マザーハウスを軌道に乗せて各マスコミで最注目の女性の、明日へ向かう力に溢れたノンフィクション!


TBS『情熱大陸』いつも録画して見ているんですが、16日放送分のバッグデザイナー山口絵理子さんは衝撃的でした。何がって、弱冠26歳の彼女が、慶応大学を出て国際機関に勤めて、しかし何かが違うと感じて、アジア最貧国のバングラデッュに乗り込み、「必要なのは施しではなく先進国との対応な関係作りである」との信念のもと、現地の人とバック作りに励みます。大事なのは机上の理論ではなく実戦なのだ、と。正しいと思ったことも、正しいと言うだけでは形にできない。彼女はまずやってみて少しの成功を積み上げ、挫折も乗り越え、さらにその少しの成功を『プロトタイプ』にして周囲を巻き込み、さらに前進していく、その生き方に勇気を感じました。

本は昨日の出張の新幹線で読みました。感動ストーリーです。

貧しさは生活の至るところで人間を傷つける武器として現れた。その度に、どんなに変えたくても変えられない現実があるんだと思い知った。車に跳ねられても一言も言えずに立ち去る少年も、クラスメイトの女性も、リキシャ引きになる少年も、洪水の中泳いで薬を買いに行く子供も、みんな生きるために、生きていた。そこに生まれなければ発揮できていたはずの沢山の可能性がある。しかし、正義や努力が日の目を見ない腐った社会でも、自分の生きる道を何とか切り開き、力強く、生きていた。

バングラデュで見てきた現実の中で自分の人生に最も影響を与えたものは、明日に向かって必死に生きる人たちの姿だった。食べ物が十分でない、きれいな服もない、家族もいない、約束された将来もない。そして生活はいつも政治により阻害され、きれいな水を飲むにも何キロも歩かなければならない。そんな人たちが毎日必死に生きていた。
ただただ生きるために、生きていた。そんな姿を毎日見ていたら、バングラデシュの人が自分に問いかけているような気がした。「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?」って。自分は一体何をしてきたんだ。他人と比べて一番になるなんてそんなちっぽけなことに全力を注ぎ、泣いたり笑ったり。こんな幸運な星の下に生まれておいて、周りを気にして自分ができることにも挑戦せず、したいことも我慢して、色んな制約条件を自分自身の中にだけつくりだし、自分の心の声から無意識に耳を背け、時間と共に流れていく。バングラデシュのみんなに比べて山ほど選択肢が広がっている私の人生の中、自分が彼らにできることはなんだろう。
それは、まず自分自身が信じる道を生きることだった。他人にどう言われようが、他人にどう見られ評価されようが、たとえ裸になってでも自分が信じた道を歩く。それが、バングラデシュのみんなが教えてくれたことに対する私なりの答えだ。

Keep Walking これは現在進行形のノンフィクションです。

4/13追記
この山口さんと一緒に働く現地の人のコメントです。

これまで大勢の人が開発の名の下にやってきてお金や食料を援助してくれました。でも私が思うに、それには持続なな効果はありません。
なぜなら人々に無償で何かを与えるのは、彼らを「物乞い」にするのと同じだからです。エリコさんは全く違う哲学の持ち主です。彼女は「ビジネス」を通じてこの国を力づけようとしています。それこそが人々を救う唯一の持続的な道と私も信じています。もし仕事があれば彼らは誇りを持って生きていけます。それが私が彼女とともに働く最大の理由です。