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[山崎養世] 道路問題を解く


道路問題を解く―ガソリン税、道路財源、高速道路の答え

道路問題を解く―ガソリン税、道路財源、高速道路の答え

使われない道路を作り続けるのはなぜか? 財源があるのになぜ高速道路を無料にしないのか? 民営化しても道路公団は破綻する! 終戦直後に作られた道路の仕組みを改め、矛盾だらけの日本の道路を正す。


ガソリン税の暫定税率がタイムリーな話題ですが、この本はずばり「高速道路料金を無料開放する」ことによって道路問題(=無駄な道路を造り続ける既存の仕組み)を解決すると同時に、地方と都市の経済格差の是正や新しい産業の創出、地方分権を推進し、如いては日本の経済も復活できると説いています。昭和27年に青年議員の田中角栄が作ったとされる道路特定財源ですが、その歴史的背景など結構読み応えがありました。アメリカの高速道路は敵が上陸してきた時に軍隊を瞬時に送り込めるようにと国防のために整備されたそうです。東西冷戦時に共産主義への防波堤にしようと考えたアイゼンハワー大統領が日本にも高速道路網が必要と考え作らせたともあります。
昨今道路問題というと鬼の首を取ったかのように叩かれる風潮にありますが、道路建設が悪なのではなく、不要な道路まで粛々と造られてしまう仕組みにこそ問題がある、と持論を展開しています。

そもそも社会インフラ整備は国の仕事ですから本来は国営の建設会社が道路を作ればいいのですが現実問題そうはいかないので、国に代わって民間の建設会社が作っていると言えます。
一般に「無駄な道路」=費用対効果の低い道路のことを言っているのでしょう。ただ費用対効果で判断できるのは自由競争社会であって、自らが市場を創造できない建設業界は自由競争社会ではないのです。災害時や救急時に住民を守ることにもなる社会インフラは「無駄な道路」とは言えないでしょう。費用対効果が低くても必要なものもあるのです。でも過去の道路建設による40兆円もの借金がそうも言ってられないのでしょうか?

「店(建設会社)よし、客(発注者)よし、世間(国民)よし」の三方良しとするにはどう知恵をしぼればいいのか、悩ましいですね。