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[角田光代] 八日目の蝉


八日目の蝉 (中公文庫)

八日目の蝉 (中公文庫)

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。


“蝉の一生”をご存知ですか?蝉は7年間も土の中にいて、やっと地上に生まれたとしてもたったの7日間しか生きれないという話は、人生の儚さを例える話として聞いたひとも多い。「あんなに小さい身体であれだけうるさく鳴いていたら、そら一週間で死んでもおかしくはない。なにが儚い一生や!」という千原ジュニアのネタにもあるが(笑)。この著者の小説は初めて読んだが、容疑者が逃亡する話はそれだけで面白い。吉田修一の『悪人』を思い出した。ラストは期待していたものとは違ったし、カルト集団の話が少し長ったらしかったのが残念。寿命を超えて8日目を生きる蝉は7日で死んでいく蝉が見れなかった景色を見る。それは果たして幸せなことだろうか。そんなタイトルに込められた問いにあなたはどう答える?