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開通

 米国ミネソタ州交通局は9月9日、ミシシッピ川に架かる州間高速道路35W号線の「セントアンソニーフォールズ橋」が、早ければ9月16日に開通することを明らかにした。9月15日の記者会見で正式に発表する。同橋は2007年8月に崩落して、13人の死者を出した鋼トラス橋を架け替えたもの。当初の工期よりも3カ月短縮して、わずか1年余りで完成することになる。

 旧橋の崩落後、交通局は新しい橋の建設を急ぐため、デザインビルド(設計・施工一括)方式で発注。北米最大規模の橋梁会社であるフラットアイアン社と海洋構造物の施工を得意とするマンソン社のJV(共同企業体)が2007年10月、約2億3400万ドル(約252億円)で落札した。JVは、橋長370.6mのPC(プレストレスト・コンクリート)4径間連続箱桁橋と取り付け道路を437日間で造る技術提案をした。上下線をそれぞれ2主箱桁の橋で構成する。

 JVは、通常よりも1割増しの設計荷重を見込むことやPC鋼材の本数を後付けで増やしたり交換したりできる構造にすることを提案。橋の振動やひずみ、塩化物イオンの量などを計測するモニタリングシステムの導入も提案した。

 入札には計4者が参加。フラットアイアンJVが提示した金額は最も高く、工期は最も長かった。それでもJVが落札したのは、維持管理費を抑えられるコンクリート橋を提案して評価されたからだ。ほかの3者は鋼桁橋を提案していた。

 契約上のしゅん工日は2008年12月24日。工期よりも早く完成すると、JVは落札した金額に加えて、100日を上限に1日当たり20万ドル(約2150万円)の報奨金を受け取る。逆に、遅れると1日当たり20万ドルの遅延金を交通局に支払わなければならない。工期を3カ月短縮したJVは、およそ2000万ドル(約21億5000万円)を追加で獲得する。

 JVは工期短縮を目指して、最盛期に約600人の作業員を10時間ずつの2交代制で投入。午前7時から翌日の午前4時半まで、引き継ぎや休憩の時間を含めるとほぼ24時間連続で施工した。

 2007年11月から、橋脚の鋼管杭などを打設。杭のコンクリートも2008年2月上旬までに充てんした。橋台や橋脚の施工は、当初に計画した工程よりも2カ月ほど早い2008年3月に終えた。冬に降雪がほとんどなく、工事を中断せずに進められたからだ。(ケンプラッツ)


2007/8/3 アメリカの橋の崩壊


開通は喜ばしいことですが、1日前倒し20万ドルの報奨金、遅れると20万ドルの遅延金ですって。ハイリスク・ハイリターンの米国社会そのもののような気がします。日本ではあまり採用されないでしょうね。主要道路の突然の崩落による復旧工事なので通常の工事とは同一で考えられないですが・・・
印象だけで言うと、橋長370mで250億円って高過ぎ!撤去費用なども入ってたかも知れませんが・・・日本では平時の発注で1/5〜1/10くらいだと思いますよ。

「建築は名を残すが、土木は残さない。土木屋には人知れず仕事を終え、みんなが幸福になれば、それでいいという思いがある」


以前日記に書いた言葉ですが、今日の業界技術交流会で聞いたのですが、最近(ここ2年)は橋歴板に現場代理人の名前が載るようです。ちょっとびっくりしました。

建築は設計者の名前が残りますが、土木は現場責任者の名前が残るんですね。
建築は「建築家」、土木は「土木屋」で「土木家」とは言いません。建築と土木の違いがこんなところにもあります。