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[町山智浩] アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない


アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

デタラメな戦争、崩壊する経済、暴走する宗教、ウソだらけのメディア、腐敗する政治…ブッシュの8年間でアメリカはかくも酷くなった


「プロ野球ファンの半分は甲子園の場所を知らない」みたいな感じ?
オバマさんが新大統領になってもう100日経つそうだが、この本は前大統領ブッシュ時代の8年間のアメリカを痛烈に皮肉っていて、とにかく面白い本だった。日本の政治家に読んで欲しいとも思った。この国についていって大丈夫かと。それでもアメリカのすごいところは、ブッシュ後に史上初の黒人大統領を選んでしまうとろこにあるのかな。

「ブッシュの政策はほとんど失敗だった」ウィレンツは断言する。'00年に対立候補のゴアよりも少ない得票数で「疑惑の当選」を果たしたブッシュは、9.11テロの可能性を事前に知りながら何もせず、イラクをテロの犯人と決めつけて国連決議なしで先制攻撃。後にイラクとテロは無関係と判明したが、戦争の泥沼から抜け出す策はない。イラクに兵力割いたため、アフガンでもいまだ勝利できず、北朝鮮やイランは核開発を進め、世界はかえって危険になった。国内ではかさむ戦費と金持ち対象の減税で財政赤字は史上最大に膨れ上がり、年金制度も崩壊。経済についてはまったく無策で、不動産バブルを暴走させた。不景気と失業増加で、クリントン時代に史上最低だった犯罪発生率もブッシュ父の時代に逆戻り。

アメリカは世界に自由経済と民主主義を広め、投資して育てることで、その歴史的役割を果たし、自らはかつてのローマや大英帝国のように没落していくのだろうか。そう考えると、ブッシュはまさに神が選んだのかも知れない。アメリカに引導を渡すために。

それでもアメリカに希望がないわけじゃない。どの国よりも激しく、その血を入れ替え続けているからだ。