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[奥田英朗] 最悪


最悪 (講談社文庫)

最悪 (講談社文庫)

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化。


従業員3名の小さな鉄工所を経営する川谷は取引先の無理難題に頭を抱えながらも家族・生活のために必死であり年頃の子供との距離感にも悩む。取引先の担当者から大きな機械の導入を進められ開業以来の大勝負に出るが銀行の融資がドタキャンとなり崖っぷちに追い込まれる。銀行員のみどりは腹違いの妹や両親との関係が良好ではなく仕事先では新人歓迎会のキャンプで支店長のセクハラに遭い上司に相談するが子飼い達にもみ消され逆に追い込まれる。和也もパチンコとその場しのぎのカツあげで生計を立てているが、仲間とトルエンを盗み出し売りさばいて大きな収入を得たかに思えたがヤクザに巻き込まれて瀕死の重傷を負う。取り返そうと大金を狙って金庫を奪うが・・・。三者三様、転げ落ちる人生が1つの事件で遭遇し・・・。

別々の物語が途中からクロスしていく展開は伊坂幸太郎の得意とするところだが、この本も全く別の3つのストーリーから始まり、後半に入って1つの物語に繋がっていく。とかく不器用な人間には生きにくい世の中なのだと感じさせる。面白い。