Yasublog

本、土木・橋梁、野球、お笑い、などについて書いてます。

最近読んだ本

永訣の朝 (河出文庫)

永訣の朝 (河出文庫)

「みなさん、これが最後です。さようなら、さようなら」―。終戦まもない昭和20年8月20日の朝、南樺太・真岡郵便局に勤務する、九人の若い女性電話交換手が自決した。ソ連軍の進駐がどんなものなのか予測不可能な状況下、通信業務の使命を全うする中で、何が彼女らを死に追いやったのか…。関係者への徹底取材で、当時の乙女らの日常と、悲劇の真相を追跡するドキュメント。

昭和20年8月15日の無条件降伏(終戦)のあと、北海道でソ連との戦闘があったことをどれだけの日本人が知っているのだろうか。僕も恥ずかしながら最近知った。なぜ9人もの女性が自決しなければならなかったのか、著者が関係者への取材で核心に迫っている。また南樺太からの引き上げ船「小笠原丸」が小樽に向かう途中の増毛沖合で国籍不明の潜水艦に魚雷攻撃を受けて600名以上が死亡するという事件が起きている。無条件降伏をした7日後のことで終戦後の混乱をついた非道に憤りを覚えた。


民王 (文春文庫)

民王 (文春文庫)

夢かうつつか、新手のテロか? 総理と息子の非常事態が発生--。「お前ら、そんな仕事して恥ずかしいと思わないのか。目をさましやがれ! 」漢字の読めない政治家、酔っぱらい大臣、揚げ足取りのマスコミ、バカ大学生が入り乱れ、巨大な陰謀をめぐる痛快劇の幕が切って落とされた。
総理の父とドラ息子が見つけた真実のカケラとは!? 謎が謎をよぶ、痛快政治エンタメ!

永田町のエゴとマスコミの揚げ足取りに翻弄される総理大臣と就活中の息子が入れ替わってドタバタが展開するというコメディータッチだが、立場が入れ替わり悪戦苦闘するなかで忘れてかけていた大切なことに気づいて再生を期す感動作に仕上がっている。直木賞受賞の「下町ロケット」、「鉄の骨」などもおすすめ。


オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。そんな世代へエールを送る痛快エンターテインメント小説。


オレたち花のバブル組 (文春文庫)

オレたち花のバブル組 (文春文庫)

「バブル入社組」世代の苦悩と闘いを鮮やかに描く。巨額損失を出した一族経営の老舗ホテルの再建を押し付けられた、東京中央銀行の半沢直樹。銀行内部の見えざる敵の暗躍、金融庁の「最強のボスキャラ」との対決、出向先での執拗ないじめ。四面楚歌の状況で、絶対に負けられない男達の一発逆転はあるのか。

今話題のドラマ『半沢直樹』の原作2作品。社会現象になるだけあってめっちゃ面白かった。「現代版の水戸黄門」という評価もあるらしいけど、主人公の半沢もかなりのワルで清廉潔白なヒーロー像とは違う(殺人を犯さない必殺仕事人っぽい気もする、いや、ザ・ハングマンかも)。上司の不正を人質に自身の栄転を迫るなどエッと思う行動に出たりもする。これは理想を実現するためには必要悪をはたらいてでも組織のトップに上り詰めなければならない、という著者のメッセージだと思った。縦社会や組織の理不尽さで歯がゆい思いをするサラリーマン、妄想で上司を滅多切りにした経験は一度や二度ではないはず(笑)。そんな妄想のなかの自分を半沢に置き換えてみな溜飲下げてるんだな。

半沢語録

  • 基本は性善説、しかし、やられたら、倍返し。それが半沢直樹の流儀だ
  • お前は銀行員として当然の選択をしたにすぎない。人間ってのは生きていかなきゃいけない。だが、そのためには金も夢も必要だ。それを手に入れようとするのは当然のことだと思う。報告書なんかわざわざお前が出すことはない。そんなことをしなくても、オレはなんとかする。だから、心配すんな。ーーあおめでとう
  • 退職金なしで銀行からたたき出してやる。懲戒解雇でな。
  • 自分の頭で考えて、正しいと思うことを信じてやり抜くしかない。(その結果、とんでもないしっぺ返しを食らっても、か)その組織を選んだのはオレたちだ。
  • コストカットして縮小均衡すれば儲けがのこるなんてアホなことをいうつもりじゃないだろうな。そんなのは、現場を知らない銀行員の妄想なんだよ。
  • これから書いて、明日の朝、融資部に提出しろ。お前なんぞに与信判断する資格はない。もしこれ以上、くだらない理由で引き延ばしてみろ。完膚無きまでにたたきのめしてやるからな。
  • 私だって、東京中央銀行の行員、つまりはあんたと同じ一社員にすぎない。経営にも関係がない。自分の懐が痛むわけでもない。だけど、私は一社会人としてあんたのやったことは絶対許せない。たとえあんたがどれだけ迷惑だろうと、あんたがやったことの責任は必ずとってもらう
  • だから、オレが変えてやる
  • この期に及んで見苦しいぜ
  • 銀行に時効はない