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[安田佳生] 下を向いて生きよう。


下を向いて生きよう。

下を向いて生きよう。

30万部のベストセラーとなった前著『千円札は拾うな。』が「自己否定」をテーマとし、「捨てる」ことにより劇的な変化を起こす考え方を説いたのに対し、本著『下を向いて生きよう。』は「自己肯定」をテーマとし、自分が自分を心から認めることが幸せな人生の条件である、という考え方を説いた書籍です。


2年くらい前に「千円札は拾うな。」を読んで、仕事に対する向き合い方に大きく影響を受けた。読んだのが技術職から営業職に異動になった時期と重なったのも大きかったと思う。従来の常識を否定して、「勤勉は悪、努力は報われない、残業をやめれば給料は増える、自分の給料を下げる努力をしなさい」など刺激的な言葉はコツコツ努力するタイプの自分の後頭部を殴られた気がした。勤勉や努力はやっぱり大事だが、あえて本当にそうですか?努力の仕方が間違っていないですか?と問いかけた。残業代が支払われる以上、みんな必死に仕事して残業して頑張っているけれども、案外思考停止状態の人もいるし、生産性はどうなんですか?と。しかし技術職は基本的に時間単価を売っているので労働時間に比例して成果もあがる。営業の場合、当然結果がすべて。極端な言い方だが、努力しても受注できなかったらその努力は報われなかったことになる。成果は費やした時間に必ずしも比例しないってことは、時間を切り売りする技術職とは考え方を変えないといけないということだ。また違う見方をすれば「努力すれば成果があがる仕事」を受注し、無ければ「努力したぶんだけ成果があがる仕組み」を「作る」ことが必要だ。

そういった意味で前作は「強い」安田佳生が、今作は「弱い」安田佳生が書かせたのだと思う。

わき目も振らず高い山を必死で登りあるとき気付いたらどんな山を登ってきたかも分からず景色も薄っぺらいものだったりする。だからゆっくり歩き景色を楽しみ足元に咲いている小さな花に感動する人生もいいんじゃないのと。自己否定ばかりではなく、弱い自分もふくめて肯定してあげないと不幸ですよと、「下を向いて生きよう。」は語っている。

心身を強い自分が占めているときは「千円札は拾うな。」、弱い自分が占めているようなときは「下を向いて生きよう。」を頼りに考えていけばうまいこと行くのではないかな。